質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第百二十号)昭和二十二年十一月二十五日配付

内閣参甲第一三二号
  昭和二十二年十一月二十一日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出国鉄座席券発売等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出国鉄座席券発売等に関する質問に対する答弁書

一、列車回数が少くて乗車に困難をかけていることは石炭事情のためとはいえ申訳ないと思つている。根本的には回数を増加して定員輸送をすることが唯一の解決の途と考えるが御説のような制度の実施もたしかに一案であり当省としても屡々考究した点である。しかしながら国鉄では長区間に亘つて様々な乗客の乗降を取扱わねばならない関係上実施の方法が複雑で座席の確保が容易でないため遂に今日まで実施を見ていない。本問題については輸送力と睨み合せて更によく検討したい。

二、市長や市会正副議長の職務の重要性については充分諒解し得るところであるが目下の国有鉄道の経営状態又は省線無賃乗車証の性質等から考えて無料パスの交付は困難である。

三、上越線湯檜曾駅で貨物の取扱を開始されたいとの要望であるが、同駅は水上村大字湯檜曾に所在して貨物の取扱を開始すれば同村の粟澤、藤原部落方面からの薪炭類が出貨されるものと思われる。しかし同駅は地形上その設置箇所が主要道路と著しく高低がありその差約百米に及びその間階段をもつて連絡し、別に荷物運搬の設備がないので手荷物、小荷物等は人肩によつて運搬されている。現在比較的軽量の手荷物ですら運搬に困難を極めている。貨物は概して手小荷物より重く容種共大なるを通例とするので同駅でこれが取扱をなすには道路から駅までの運搬を機械力によらなければならない。資金、資材等が許される迄は隣駅等を御利用願つて御辛抱が願いたい。

四、終戦当時に於いて全国港湾航路に沈没せる船舶は厖大なる数で其の内本年十一月一日迄に六六四隻四〇七、三四四屯の(救助及び解撤)の実績を納め其の中積荷救助は一七隻二七、〇一三屯で主に鉄鋼、石炭、機械、雑貨等でこれが引揚物件の処理は各物資官庁の所管に属し、これ等物件は一般民需用に廻り生産向上の一端をなしつつある。なお爾余のものは概ね難作業のもののみが残つているが調査の上物資官庁とも緊密な連絡をとり、速かに生産力の一助たらしめたい所存である。