質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第九十八号)昭和二十二年十月三十一日配付

内閣参甲第一一二号
  昭和二十二年十月二十八日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員大山安君提出農業共済制度改正に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大山安君提出農業共済制度改正に関する質問に対する答弁書

一 共済掛金については対象農作物の総生産量中、農業者の自家消費量と供出量(消費者の消費量)との割合に応じ掛金を夫々農業者と消費者とが負担するという原則に基いている。従つて通常被害率に相当する部分の全額及異常被害率に相当する部分の一定割合(三分の一)を農家負担とし、その残額即ち約三分の二及超異常被害率に相当する部分の金額を消費者負担としているが、農家負担と消費者負担との割合は米麦においては約半々であり、これが両者の負担の均衡を得ていると思う。

二 共済制度運営の重点の一つは共済金支払を迅速に行うにあるを認め、災害確定後政府の支払再保険金を可及的迅速に支払うこととする。同時に共済保険組合の支払不足金も農林中央金庫より直ちに貸出させる方針である。

三 陸稲の共済は明年度より行うべく準備中である。本年度の陸稲の災害に対し補償することは目下の所財政上の都合により困難である。

四 共済団体の其準事務費は国庫で負担するが、損害評価に必要な経費の一部は事務費の一部として計上しているがその全額を助成することは困難である。

五 共済制度と災害防止とは密接不可分であるから災害予防を積極的に共済団体が行い、これに必要な経費を助成することの必要を認めるが総ての災害防除の補助金を全部本団体を通じて交付することは困難である。

六 必需物資が非常に不足している現在であるから、充分な特配を行うことは難しいが制度の拡充を機会に必需物資の可及的配給に努力したい。

七 農作物及蚕繭に於いては殆んど強制に近い供出制度があり、価格も公定しており、強制加入制を採用しているが家畜に対しては価格も自由であり、任意加入でもあるから、共済掛金を国庫に於て負担することは困難である。尚従来徴収していた家畜に関する事務費(附加保険料)について本制度実施と共に特別の場合を除いては徴収しないことにする。