質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第九十三号)昭和二十二年十月二十七日配付

内閣参甲第一〇四号
  昭和二十二年十月二十四日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員木檜三四郎君提出小作料金指定価格不公平に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員木檜三四郎君提出小作料金指定価格不公平に関する質問に対する答弁書

 問題として提出せられた農林大臣の指定する価格とは、農地改革の一環として行われた小作料金納化のため、従来の物納小作料を定額金納小作料に転換する際の換算の必要から定められたものであつて、一回限りしか使用されぬ性質のものであつて、小作料が金納に転化した後においては一反歩何円という定額金納小作料が残つているだけである。これは金納小作料の当然の性質であつて、現物を基礎として年々の時価で換算するという所謂代金納と根本的に異なる点である。即ち金納小作料は、もう米価や他の生産物価格の変動によつて左右されないものであり、これが金納小作料の特徴である。これによつて初めて小作農は完全に独立した企業者となることができる。
 地主の方々が物価の騰貴によつて生活に困難を来されることがあるとしても、これは現在のインフレの時期において定額収入によつて生活するもののすべてが当面している問題であり、即ち農地改革とは自ら別のものである。
 質問主旨の如く、米価その他の物価に伴つて金納小作料を引き上げることは、実質的には代金納制に逆戻りすることであり、農地改革の一環として行われた小作料金納化の意味を失わせ、引いては農地解放自体にも支障を来すものである。したがつて、農地改革を完遂する責任を負う政府として、御質問の二点についての改正の意思は全くもつていない。