質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第六十号)昭和二十二年十月三日配付

内閣参甲第七一号
  昭和二十二年九月三十日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出水害防止に関する積極政策等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出水害防止に関する積極政策等に関する質問に対する答弁書

 今次関東及東北地方に襲来した降雨は各河川に大出水を来し就中既往の最大記録を突破した河川も多く各方面に甚大な被害を惹起し、建設途上の国民生活に更に不安を増加したことは洵に遺憾な次第であります。
 之が原因につきましては記録的な降雨量があつたことが最大の理由でありますが、森林に就きましても戦時中並に戦後にかけ木材生産のため相当多量の伐採をしておりますが、跡地造林は之に伴わない状態でありますので、無立木地並に荒廃林地は相当生じた実情であります。
 政府は今次災害の特異性を充分調査研究致しまして今後の治山、治水策の重要資料と致しますことは勿論治山、治水の見地から森林の回復を急速に計る要を認め目下之が根本策として治山並造林の五ケ年計画を計り戦後林野の基本調査に基きまして荒廃林地を森林に復旧し未立木地及伐採跡地の造林を積極的に行いますると共に治水の長期恒久計画を樹立し審議を進めて居りますので之が積極実施を迅速に取運ぶ考えであります。
 更に河川氾濫の一因が土砂堆積に依る河床の隆起にもありますことは肯けることでありますが土砂採取料金の徴収免除が直ちに河床隆起緩和に役立つとは一概に申されませぬばかりでなく該料金の徴収は現在の処河川の維持管理上から考えましても亦地方財政の現況から考えましても今直ちに廃止することは困難と考えられます。
 尚水害防止に関する国家的組織の常備については今後充分研究致したいと思います。又この度の水害に依る罹災農家に対しまして直ちに関係機関と連絡の上、第一に応急救恤用の主要食糧、缶詰、乳製品、薪等の応急配給を実施しつつあります。猶第二に此等農家の生産再開のために金融的措置として農機具、肥料等農業生産用品の購入資金並に耕地、林道等応急復旧工事に対しては取あえず特別資金融通の途を開くと共に、被害額の確定を俟つて之が予算的措置を目下考研中であります。第三に資材については、流失損耗せる農機具、肥料、其の他応急復旧用資材の優先的特配を実施しつつあります。
 以上各種措置を実施するにあたり極力手続其の他の簡易迅速化をはかり、以つて稀有の災害に見舞われたる地域の復興の一日も早からん事を期している次第であります。