質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第四十五号)昭和二十二年九月二日配付

内閣参甲第五一号
  昭和二十二年八月二十九日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出運輪計画其の他に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出運輸計画其の他に関する質問に対する答弁書

(一)本州北海道間の海底トンネルに関しては将来計画の可能性に就いて調査の計画があるが具体案は未定である。
 住宅復興については御趣旨に同感であり資材の許す限り、極力遂行したい考えである。

(二)本項については特殊の事情があつて、答弁できない。

(三)我が国の地理的条件から見て、国内において消費する塩の全部を国内生産に待つことは適当でなく、又今日においては、石炭事情等の関係もあつて、国内消費量の大部分を輸入に仰いでいる現状である。然し塩の供給を全部輸入に依存することは不適当であり、又輸入にも自ら限度があるので、国内においても相当量の生産を確保すべく、目下極力努力中である。

(四)現在四百万戸に及ぶと云はれている住宅難を解決するためには二十ヶ年計画としても自然腐朽、世帯の自然増加、火災その他による滅失等を見込み年間四十万戸の建設を必要とし、現在の単価にては全部木造としても三百三十億円を降らない資金を要するのであるが、現在のような資金の蓄積の著減と、通貨増発抑制から金融を著るしく引き締めざるを得ない金融事情の下においては仮に所要融資額を半分と見てもかかる多額の資金を住宅建設にのみ割き得ないことは極めて明白である。以上の点より根本的要件としては、経済回復により資金蓄積が増大し資金供給が潤沢になつて始めて住宅問題の解決も可能となる訳であるが、更に他の大きな隘路としては、住宅資金がその本質上長期であること、且つ低利であることを要する関係上現在の経済状勢、金融状勢の下においては特に金融機関による融資が困難であると云う点である。この意味において政府としても住宅金融の面に、資金事情の許す限り尽力致すと共に、住宅金融の特殊性に鑑み、住宅金融金庫の設置を是非共必要と認め速かにその実現を図りたいと考えている次第であるが、金庫の設置は、基金運営資金等の所要資金を得るのが、一つの課題であつて財政事情、金融事情の点をも考慮の上、この方面について更に研究を加え、御期待に副いたいと考えている次第である。

(五)御趣旨には全く同感である。国立劇場の建設は終戦後の劇場難が、わが国の演劇文化の健全な発達を阻害している現状に鑑みても、文化国家の演劇政策として緊急に果さなければならぬ課題であるが、劇場建設のための資材難や、インフレーションによる建築費、人件費その他の維持費の高騰に阻まれて、当面の国費内では許されないような予算を必要とし、未だ実視していない状態である。まして観光外客を吸引し得るという条件を加えた国立大劇場ともなれば、それにふさわしい諸施設を完備しなければならぬので、更にぼう大な予算を必要とする訳である。従つて御趣旨の如き構想を生かすためには、周到なる計画準備を以てはじめることが大切であるので、政府においても慎重考究中である。

(六)理髪の旧料金は本年一月当時の諸物価を基礎として算定したものであつたが、新料金はこれに新価格体系による諸資材、人件費等の値上りを見込んで厳重査定の上算定したものであつて、最高二倍になつたところもあるが、各店舗の等級の査定を厳重にし上級のものを限定することにしたから、二倍にならない店舗も相当多く、概ね権衡を得たるものと思う。