質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第五号)昭和二十二年七月十四日配付

内閣参甲第九号
  昭和二十二年七月十二日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員三好始君提出学制改革並びに教員優遇に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。



   参議院議員三好始君提出学制改革並びに教員優遇に関する質問に対する答弁書

 現在学制改革は諸般の事情から、未だその具体的な全貌を発表する域に至らないため、各方面に混乱と支障を生じているので、政府は速かに具体的計画を発表して社会不安を解消したいと考えているが、御質問の点については概ね次の通りである。

一 新制高等学校の性格については、従来の高等学校とは全然その性格を異にしているのであつて新制中学校を卒業した一般大衆青年に高等普通教育及専門教育を施して一般教養を高めると共に各生徒の進路に応じた専門的技能を習熟させることを目標としている。

1 新制高等学校の設立並びに経営については、フルタイムもパートタイムも同様に国、都道府県、市町村、町村学校組合又は私人(財団法人とする)がこれを設立経営することを得るのであるがパートタイムの場合はそれが勤労青年の教育機関であるのでその重要性に鑑み各方面において設立経営されることが必要であるからこれに対し国において相当の助成策を講ずる必要があると思う。
2 パートタイムの高等学校の内容充実のための具体的計画については、パートタイムの高等学校の運営方策について目下委員会において慎重に研究を進めているので決定次第発表する予定であるが、パートタイムも等しく高等学校であるからその教科内容、教科書等もフルタイムのものと差等を設けないことにしたいと思う。

二 教員養成機関の改革についての具体的計画については、教育刷新委員会において学芸大学案が建議されているのでこの線に沿つて一般大学の問題と関連して対策委員会を設けて検討するように只今準備中である。

三 大学の形態とその設立認可基準については、新制大学は、学校教育法に規定されてあるように修業年限は四年で数個の学部を置く綜合大学を常例と考えるが一学部のみの単科大学でも差支ないようになつている。たゞ医学歯学については、四年の前に大学程度の準備教育を経なければならないが、年限は未だ定まつていない。大学設置の基準は昨年十月以来設置基準設定協議会を設けて審議中であるが、近く決定を見ることゝ思う。大学の設立はこの基準によつて申請されたものについて大学設置委員会に諮問し認可されることになる。
 次に教員を優遇することの必要なことについては同感である。政府は曩に教育基本法において、この原則を規定して、教員はその身分が尊重され、その待遇の適正が期せられなければならないとし、この線にそつて待遇の改善に努力している次第である。

一 教職の特殊性から教員にその研修に要する費用を考慮することの必要のことは同感である、この故に政府は先頃研究費として予備金から六千余万円の支出をねがつた次第で今後ともこの線にそつて努力したい。しかしこれを給与の一環と考えることについては研究の余地があると考える。

二 教職員の内地留学制度によりその資質の向上を図ることは必要なことゝ思う。政府は学制改革に伴う教員の再教育施設の一環として昭和二十二年度において高等専門学校の教員についてこの制度を実施しているが中学校以下の学校についても逐次拡張実施して参りたい。