質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第一号)昭和二十二年六月三十日配付

内閣参甲第五号
  昭和二十二年六月二十八日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員市來乙彦君提出食生活安定に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。



   参議院議員市來乙彦君提出食生活安定に関する質問に対する答弁書

一、主食糧及び副食糧につき、生産費を基礎として、加うるに生産者が相当の利益を収め得る程度に供出価格を公定すべしとの意見は、趣旨としてはまことに妥当であるが、国家財政上の見地から、価格補給金の支出を困難とする現状において、供出価格の引上は直ちに消費者価格の高騰を惹起し、一般大衆の生活費の負担を増す結果となるので、生産者の立場のみから一方的に供出価格を決定することは実際問題としては許されない。
 かゝる実情を考慮しつゝ極力再生産の基礎を確保するため、政府としては、主要農産物の価格は農業生産に関係ある諸物資の価格との間に均衡を保持する如くこれを定めることを方針として、今般先ず新麦及び新馬鈴薯について、改訂物価水準に合うようにその政府買上価格を決定した次第である。

二、供出及び配給に要する中間的費用について極力これが節減を図ることはもとより政府において努力しているところであるが、この点のみに止まらず、広く供出配給の制度全般について十分検討を加え、できる限り、その合理化を図ると共に、更に根本的には増産による供給絶対量の増加に努める。
 就中米麦等主要食糧農産物については、その生産計画及び供出割当並びに肥料その他生産資材の配給割当の三者を有機的に連繋させ、民主的な方法によつて合理的な計画生産を行うと共に、これに応ずる供出量を確保し得る如き制度を法制化すべく準備研究中である。
 又、主食の不足を補うため、大消費都市における副食の確保については特に力を注いでいる。これが為、鮮魚介については先般来実施中の鮮魚介配給規則による統制を確実に実行すると共に、加工水産物、蔬菜、味噌、醤油等についてもその配給量を増加し得るような方策を講じ、特に蔬菜については特産地の復活を助長して、これと消費都市とが有機的に結びつくような措置をとり、これらの諸施策を通じて配給食糧総体としての栄養量を保持するに努める。

三、公定価格の厳守、闇売買の絶滅のため、徹底的に取締を強化すべしとの意見も、趣旨においては当然であり、政府としても極力これが取締の徹底を期している次第である。しかし、警察力による取締が真に効果を収め得るためには国民全般の理解ある協力が必要であり、又、一方において、各家庭に対し少くとも必要最低限の栄養を保持するに足る食糧の配給が確保されることを前提条件とするものであつて、そのためにも根本的には食糧の増産のため凡ゆる方策を講ずると共に、供出配給の制度の合理化について一段の努力を重ねている次第である。

                            以 上