質問主意書

第1回国会(特別会)

質問主意書


(質問第百十七号)昭和二十二年十一月十二日配付

食糧価格のパリテイ計算方式に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十二年十一月十一日

三好 始      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   食糧価格のパリテイ計算方式に関する質問主意書

 単一公定価格制による農産物の価格統制は、今後相当継続されるものと考えられる。従つて、理論的に妥当な価格を設定し、一面において消費者の負担を適正にすると共に、他面において農家経済及び農業再生産に支障を来さないための考慮を必要とする。
 そこで、昨年より採られているパリテイ計算方式を今後も農産物価格決定の方針として継続するとすれば、上述の立場殊に農家経済及び農業再生産への考慮の点において疑義があるから、左記の点を明らかにしていただきたい。
 米価は、工業生産物価格に対し、農産物価格を代表していると考えられるのであるが、御承知の通り、自由価格時代、所謂米価率は大体漸増傾向にあることが認められた。それは、理論的に考えた場合、農業の社会経済的条件を別にすれば、生産の発展に対する工業生産と農業生産の本質的相違から来ていると言える。即ち農業における収穫逓減法則の作用になる生産力進歩の緩慢性に主として原因する。米価率の漸増傾向は、かかる条件への適応とも見られる。工業生産物価格と農産物価格を故意に並行せしめんとする場合は、農家の多くは生産費価格さえ保障されないことになり、統制秩序崩壊の原因となるだけでなく、農業再生産の減退を来し、国民経済上妥当とは考えられない。
 今後食糧価格決定にパリテイ計算方式を継続する場合、従来の方式をそのまま続けることは、この点から考えて疑問に感ずるのである。これに対する政府の説明を求めたい。