質問主意書

第1回国会(特別会)

質問主意書


(質問第九十一号)昭和二十二年十月十五日配付

米価決定におけるパリテイ計算に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十二年十月十四日

三好 始      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   米価決定におけるパリテイ計算に関する質問主意書

 本年産米価はパリテイ計算で決められることになつているが、現下の米価問題の重点は、米価をパリテイ計算で決めるか、生産費計算で決めるかにあるのではない。パリテイ計算における農家買入れ品目の数や、そのウエイトのつけ方にあるのでもない。むしろ、供出制に伴う米価の固定性-くわしく言えば一定期間内に一定米価で供出すること-が、インフレ昂進の経済状態の下において、農家経済に与える影響にあると考えてよい。
 「パリテイ計算によると、従来のように、農産物が工業製品より割安になるという価格の不つり合いがなくなる」と考えるのは皮相の見解である。価格の均衡は、単に計算当時の均衡に過ぎない。農家の買入れ品目が、計算当時より値上りになれば、固定されている米価で供出し、その代金をもつて一年間を通じて経営及び家計用品を購入せねばならぬ農家にとつては、実質上価格の不均衡となるのは言うまでもない。
 そこでパリテイ計算による米価決定に関し、次の質問をしたい。

一、昭和二十一年産の米価は、農家の経営及び家計用品三十二品目につき、基準年度に対する昭和二十一年七月における加重平均指数を出し、これと基準年度の平均米価二十八円四十八銭を根拠にして、五百五十円(計算上は五百五十八円)と決定せられた。五百五十円の米価は年度中固定的であるが、三十二品目の商品はその後値上りになつている筈である。此の場合、仮りに昭和二十二年一月、五月、九月の各期をとつて、パリテイ計算した場合、米価は夫々いくらになるかを示していただきたい。

二、若し農家購入品の値上りにより、米価決定当時の価格均衡がなんの意味もなくなる結果になれば、パリテイ計算によつて決定される米価を、生産農家は、理論的に妥当なものとして納得することはできない。政府はインフレ昂進による均衡価格の破綻に対し、なにをもつて農家経済を保障せんとするかを明らかにしてもらいたい。

三、出来秋の供出代金をもつて、年度中の家計及び再生産を支えて行かねばならぬ農家は、購入品値上りに対する自救手段として、供出を控え目にして余剰食糧を手持し、これを横流しせざるを得ない事情も考えられる。かくして供出問題は単に割当の技術問題を超えた深刻な経済問題である。然して問題の根本的解決は、単に農業政策の分野に委ねらるべき性質のものではなくて、綜合的な経済全般に関する政策として取上ぐべきものである。政府は供出制度並に現実の供出割当及び供出価格決定に当り、右の事情を充分考慮し、施策の上にそれを反映する意思があるかどうかを承りたい。

四、パリテイ計算の基礎となる農家購入品の価格算定に当り、公定価格を採るものとすれば、完全供出を建前とする限り、政府は公定価格で農家購入品を必要量だけ配給する責任があると考えるが、見解如何。