質問主意書

第1回国会(特別会)

質問主意書


(質問第四十七号)昭和二十二年八月二十七日配付

生鮮食料品(水産物)に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十二年八月二十六日

青山 正一      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   生鮮食料品(水産物)に関する質問主意書

一、産地統制の強化について

 出荷、配給の基盤は生産にあるこの生産の根本を押えずして出荷も配給も成り立たない。
 この意味より何を措ても産地統制の強化が強く要望されなければならない。現在の取締が微方であり各地区に於ても取締り方針が区々でありとするなれば別途の機関或ひは特別の措置で之れが徹底を図ることの急務を痛感する産地統制の徹底を期する為に政府の採らんとする対策を承りたい。

二、出荷経費について

 現行出荷経費は全部生産者負担となつているが少くとも集荷場以後の経費は生産者負担から除外さるべきである。その理由は現在の出荷は生産者の意志によつてなされるものではなくして凡て農林大臣又は地方長官の指示に基ずいてなされているからである。国又は消費者乃至荷受機関の何れが負担するとしても斯くすることにおいて指示者の意志の儘に遠近何れの地区へも計画輸送が可能となる。
 更に鮮度保持の上にも顕著なる効果が期待できる即ち出荷者が戦前の百倍以上の氷代を負担して鮮度保持に努めても(公)以外一銭の超過販売も認められない今日においては氷の使用量の減退することも亦巳むを得ない或る荷受機関では入荷量の四割が鮮度下落のため燻製品として加工配給している事実もある斯る事例は各荷受機関共通の問題たるべく国家的にも大なる損耗である。出荷経費の負担を生産者以外に肩替りすることにおいて以上の弊害は完全に防止し得ると信ずるが之に対する政府の所見を承りたい。

三、末端配給の適正化について

 現在の小売公価と配給量よりみる場合は小売経営が極めて困難であり小売商の最低生活を維持することができない状態である。
 現在の実相は自己の生活に必要な収益だけはどうしても得なければならないので価格違反又は量目不足が取扱の多寡によつて生じてくる即ち生活維持に必要な最少限度の利潤を与えぬ限りこの種の不正は根絶することができないであろう。尚他の商業者に比べて労力の点では格段の相違がある利潤と言うよりは労力に対する正しい報酬として考えらるべきである。
 魚類末端配給改善運営委員会の調査によれば昨年六月より本年五月迄一ケ年間の収支概算は一ケ月平均収入二、七六一円に対し支出四、一〇三円にして支出に対する収入の割合は七割弱である。収支バランスを合せる為には利潤を増加するか一人当りの配給量を増加するかの点にある。
 (一人当りの配給量を増加することは漁獲の著増をみない限り小売業者の三分ノ一の整理を意味する)
 何れにしても末端配給の適正を確保することを前提としてこれに対する政府の所見を伺いたい。