第1回国会(特別会)
(質問第三十七号)昭和二十二年八月十八日配付 在外同胞の本国送金小切手払渡に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和二十二年八月十六日 北條 秀一 参議院議長 松平 恒雄 殿在外同胞の本国送金小切手払渡に関する質問主意書 本件と同一の問題は数万件に及んでいる。そして夫々の関係官庁に陳情がなされているのであるが、何れも極力善処すると言う様な漠然たる解答を以て今日に及んでいるのであるが、何等解決を見るに至つていない。従つて引揚同胞の間には政府の無責任なる態度に大きな不平不満を持つているが如何とも為し難いので、今や大きな社会不安を醸成する原因となつているのである。此の際之等問題に対して明確なる方針を示し、国民をして納得せしめることは絶対に必要であるので、こゝに一引揚者の陳情内容の一例を挙げて質問をする次第である。従つてこれに対する回答は広く引揚同胞に公示せらるべきものなるを以て文書を以つて回答されたい。 送金小切手払渡についての陳情 原 籍 岡山市新道五番地 前住所 満洲公主嶺市市場町一丁目十五番地 現住所 山形県飽海郡遊佐町岡田 土門固方 陳情者 大 口 靖 太 明治十六年六月二十三日生 一、金額 金二万円也(昭和二十年八月十三日小切手送金) 満洲興業銀行公主嶺支店振出 朝鮮銀行大阪支店支払 右小切手は終戦により本国送付不能になりたるにつき昭和二十一年七月二十五日舞鶴上陸の際税関に保管を命ぜられ、其後朝鮮銀行大阪支店に交渉せるところ支払開始の際新聞広告する旨回答ありたるまゝ今日に及ぶ。然るに老齢の私は就職の途なく、原籍地には家屋敷なく已むなく現住地の引揚同僚の家に仮寓しあり。日々につのる生活苦に対し、たとえ金一万円にても支払を得て、家内手工業の途を求め度く、こゝに陳情する次第であります。 |