第1回国会(特別会)
(質問第八号)昭和二十二年七月九日配付 新日本建設国民運動に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和二十二年七月八日 山下 義信 参議院議長 松平 恒雄 殿新日本建設国民運動に関する質問主意書 片山内閣はその施政の一端として危局突破に対する自主的国民運動の展開を期待し、その協力なくしては所期の目的は達し難いと言うのであるが、新日本建設国民運動が国民の間に澎湃として盛り上つてくるためには政府としても打つべき手は機微を失せず打つべきであると思う。第一は国民の束縛を速かに解いて経済活動をなし得る余地を与えること、第二は真面目にこの運動を実践する国民のために、信賞必罰を明かにすること、第三は宗教運動を重んずること、これである。政府の所見如何。よつて次の諸点につき政府の所信を示されたい。 一、戦時悪法の撤廃状況はどうなつてをるか、ことに戦時立法の統制経済関係の法令はどうなつてをるか。 速に改廃すべきであると思うが如何。 二、統制を徹底すれば国民は単に遵法の外はない、国民が積極的に協力し得るような統制方式を採るかどうか。 不必要な統制は漸次緩和する考はないか。 三、国民は現に惨たる耐乏生活をしてをると思うが、まだまだ耐乏が足りないと思うか、どの程度まで国民生活の切り下げを要するか、現在の半分位か、基準を示すか示さないか。 四、国民道義の根源は正しき政治にあると思うが如何、正しき政治とは、信賞必罰の完全に行はれる政治であろう、然るに国民処罰の法規、並にその行政機構は至れり尽くせりであるが、信賞称揚の施政にいたつては、まことに微々たるものがある、現内閣の信賞政策は如何。 五、経済危局突破に呼応する国民勤労者を表彰する考えはないか。 国民表彰法の制定は必要ないと考えるか。 六、新日本建設国民運動に対する熱意は今のところ低調である、その実行を挙げて青年に一任すれば必らず興隆すると思うが、政府はこれを青年層に望む考えがあるか無いか。 七、国民運動は実に国民総懺悔の実践運動であつて同時に理想国家、理想社会の建設を目ざす一大宗教的運動であると思うが如何。 八、宗教改革の好機と思うが如何。 九、政府は宗教を重んずるか、一宗一派に偏することは無いか、宗教行政を重視し、宗教庁を独立せしめる考えはないか、宗教行政の最高指導者を教界長老とする考えはないか。 十、隣人愛、正義感の実践として全国社会事業の拡充強化が官民に依つて努力なさるべきであると思うが如何。 悲惨なる戦争犠牲者、可憐なる戦災孤児らに温い涙がそゝがれてこそ真の国民運動は燃え上るのではあるまいか、国民勤労、国民耐乏の喜びが生ずるのではあるまいか、政府の所見が承りたい。 |