請願

 

第204回国会 請願の要旨

新件番号 1716 件名 日本学術会議会員の任命拒否の撤回に関する請願
要旨  菅首相は、日本学術会議第二十五期会員任命に際し、同会議から推薦された百五名の会員候補のうち六名の任命を拒否した。この件に関し、日本学術会議は(一)任命しない理由の説明、(二)六名の速やかな任命を要請し、これを支持する立場が学会・大学関係だけでも延べ九百を超えて表明されている。また、多数の市民団体やマスコミからも任命拒否の不当性を批判する声が上がっている。首相の人事権を口実とした今回の任命拒否は、戦前に学問の自由を弾圧した反省から憲法に設けられた学問の自由や、日本学術会議法の推薦に基づいて任命するとの規定から逸脱している。従来、政府は、首相の任命権は形式的なものであるとしてきた。内閣がその法解釈を恣意的に変更することは違法であり、国会の権限をも侵すもので認めることはできない。この間の国会審議等で、菅首相は六名の任命拒否の理由を具体的に示すことなく、総合的・俯瞰(ふかん)的な活動を確保する観点から判断、バランスや多様性を考慮などと抽象的な物言いを繰り返し、事前の調整がなかったと日本学術会議への責任転嫁まで行った。それらのこと自体が不当であり、説明責任を果たしていない。日本学術会議の自律性、独立性を保つことは、多様な角度から真理を追究する学術研究を発展させ、社会全体が科学の成果を享受するために欠かせない。今回の会員人事への介入は、政府による自由な学術研究の統制と異論を排除する社会をつくり出し、政府見解へのそんたくを国民に迫り、物言えぬ風潮を強めることになる暴挙と言わざるを得ない。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、日本学術会議が推薦した会員候補者を任命しなかった理由を明らかにすること。
二、任命拒否を撤回し、会員候補者六名を速やかに任命すること。

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