請願

 

第204回国会 請願の要旨

新件番号 1247 件名 新型コロナ感染症対策とタクシー事業法(仮称)制定に関する請願
要旨  ハイヤー・タクシー産業は、新型コロナウイルス感染症の拡大で甚大な影響を受けている。交通崩壊の危機が叫ばれ、事業の存続と感染リスクが高いタクシー運転者の賃金低下が深刻な状況にあり、地域公共交通としての機能を十分に発揮できない状況に陥っている。二〇一四年一月に改正タクシー適正化・活性化特別措置法が施行され、経営環境が悪化し、労働者の労働条件が低下している地域を特定地域・準特定地域として指定し、供給過剰の是正と運賃の適正化、利用者利便の向上と活性化に向けた取組が進められてきたが、課題の解決には至っていない。(一)指定基準のハードルが高く、真に適正化・活性化が必要な地域が指定されない、(二)運転者不足による稼働減や一時的な需要増で、適正化・活性化の効果によらず指定が解除される、(三)指定要件に合致し、適正化・活性化が必要であっても地域関係者の一部の反対で合意に至らず指定がなされない、(四)公定幅運賃に従わない事業者に対する運賃変更命令が実施されず、実質的に放置されている、(五)法令遵守意識・安全確保意識が低い悪質事業者が排除される制度になっていないなどの問題があり、いまだ適正化・活性化の成果が不十分な状態である。こうした中、二〇二〇年春から新型コロナウイルス感染症が日本社会を襲い、タクシー需要の激減による極端な供給過剰状態が全国につくり出されている。一方で、運行管理等について責任を負う主体を置かないまま、自家用車の運転者のみが運送責任を負う形態である、いわゆるライドシェアについては、欧米の多くの地域で禁止又は規制の対象とされているのにもかかわらず、日本国内で合法化しようとする動きがある。ライドシェアは、世界的に見ても利便性・安全性の高い公共交通を持つ日本には不要である。安全を置き去りにし、公共交通であるタクシー・バス産業などの破壊を引き起こすライドシェアの合法化に反対し、地域公共交通として重要な役割を担っているハイヤー・タクシーが、地域の状況に応じて地域における輸送需要にも対応しつつ、地域公共交通としての機能が十分に発揮できるよう、タクシー適正化・活性化特別措置法の再改正を求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、タクシー事業は生活に欠かせない公共交通として重要な社会的役割を担っていることから、新型コロナウイルス感染症の拡大により感染リスクが高いタクシー運転者の労働条件が低下し、事業の存続が危ぶまれる状況を改善するために、タクシー運転者への危険手当の支給やタクシー事業者に対する事業継続に関する支援を強化すること。また、感染リスクが高い高齢者などの移動を支えるためにタクシー代を補助する施策を国として実施すること。
二、新型コロナウイルス感染症の、乗客と運転者への更なる感染防止対策を強化し、空気清浄機の設置等、タクシー車両や乗車方法について、より一層の対策を講じること。
三、タクシー事業について、新たにタクシー事業法(仮称)を制定し、一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー)の許可を免許制に改め、一般貸切旅客自動車運送事業(貸切バス)と同様に、五年ごとの更新制とし、不適格者を排除する制度とすること。
四、全ての営業区域において、地域協議会を設置し、タクシー事業の適正化及び活性化を推進するための「地域計画」の作成を義務付けること。
五、一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー)に関わる需給調整措置を復活し、営業区域ごとの適正台数の設定(五年ごとの見直し)、許可の更新の際の減車措置、増減車の許可及び事業の休廃止の許可を実施すること。
六、一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー)の運賃・料金は、全ての営業区域ごとに、国土交通大臣が定めた適正運賃等の範囲内でなければならないこととし、適正運賃等の範囲は、三年ごとに見直すこと。
七、運行管理等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車の運転者のみが運送責任を負う形態である、いわゆる「ライドシェア」については、いかなる法律上においても合法化しないこと。

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