請願

 

第203回国会 請願の要旨

新件番号 423 件名 種苗法改正案の廃案を求めることに関する請願
要旨  種苗法改正案は、先の通常国会で食の安全を願う多くの消費者・農民・市民の反対の声に押され、一度も審議されることなく継続審査となった。しかし、政府は年内の成立を狙っている。種苗法改正案は、日本政府も加入する食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約が規定する農民の自家増殖の権利を原則禁止するものである。これは、主要農作物種子法廃止と同時期に成立した農業競争力強化支援法で、公的機関が保有する種子の知見を民間企業に提供することを盛り込み、さらに、海外企業が日本での品種登録をしやすくするなど、日本の優良品種を多国籍種子企業に提供するものと言わざるを得ない。自家増殖を禁止しても海外流出を防げないことは、農林水産省自身が認めている。自家増殖禁止は、許諾料や毎年種子を購入せざるを得なくなるなど、農民に負担増を強いることは明らかである。農林水産省は、育成者権が及ぶのは、一割にも満たない登録品種だから影響はないというが、実際には、米の登録品種の割合が増えている。また、人気の在来種に、ゲノム編集技術を用いて栄養素強化の性質などを組み込み新たな品種として登録し、在来種を企業の特許の権利下に置き、もうけの種にすることを可能にしている。さらに、種子企業は遺伝子組換え種子の開発以来、種子の栽培マニュアルに肥料や農薬などの使用量や使用時期を組み込み、農民の栽培に対する自主的判断を奪う傾向も強めており、栽培面からの企業依存をも狙っている。このように種苗法改正案は、種子の企業支配を拡大させ、品種の多様性と農民の栽培技術を奪い、気候変動などへの対応力を低下させ、日本の多様な食文化を支えてきた農作物の安定生産という消費者の願いにも逆行する。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、種苗法「改正」案を廃案にすること。

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