請願

 

第203回国会 請願の要旨

新件番号 200 件名 学費値上げに反対し、学費は無償、奨学金は給付とし、無償教育を実現することに関する請願
要旨  二〇一九年五月、大学等における修学の支援に関する法律が成立し、二〇二〇年度より給付奨学金と授業料減免について新制度が施行された。住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯に属する学生の一部に給付額を増額して支給することや、専門学校を対象に含めたことは評価できるが、支給対象を低所得者に限定したことから、国立大学の場合、これまでの授業料減免制度よりも対象が限定され、世帯年収三百八十~四百七十万円の新入生は支援制度から外される。萩生田文部科学大臣の「端境期なので御理解を(二〇一九年十二月)」という発言は、経済困難に悩む学生を切り捨てるものである。また、財源を消費税率引上げによると限定したため、中所得世帯への支援拡充の展望がないまま、私立も国立も授業料値上げが続いている。国民に無償化と宣伝しながら、実際は大半が負担増となる学生負担拡大法である。さらに、新制度は成績基準の厳格化や大学等への自治介入など、高等教育を受ける機会に対する新たな排除・不均衡を生み出すものになっている。OECD(経済協力開発機構)調査では、日本の教育に対する公財政支出は二・九%(対GDP(国内総生産)比、二〇一六年・加盟三十五か国平均四・〇%)と三年連続最下位を更新していた。日本政府が二〇一二年九月に留保を撤回した国際人権規約A規約第十三条(公教育拡充の国際基準)の実施について、国連の社会権規約委員会は二〇一八年五月末の期限を切り、権利としての無償教育を実現する迅速な措置を求めている。しかし、政府は回答期限を無視し、その実現に向けた努力も示していない。
 ついては、教育機会が権利として保障され、誰もが安心して学べる国にするため、次の事項について実現を図られたい。

一、学費値上げに反対し、学費を下げて、現行の授業料減免制度を改善すること。
二、大学等給付奨学金を飛躍的に拡大し、成績基準を外すこと。
三、大学等奨学金の返還困難者に対する救済制度を抜本的に拡充すること。
四、幼児教育から高等教育までの無償教育を早期に実現すること。

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