請願

 

第195回国会 請願の要旨

新件番号 304 件名 大都市東京における介護人材確保に関する請願
要旨  現在、都内では介護人材不足が深刻化している。東京労働局の調査では、介護サービス職種に対する有効求人倍率は六・四倍で、都内全業種の二・〇六倍、全国全業種の一・四五倍と比べてもその深刻さは明らかである。新しい施設を整備しても、人材不足のためにベッドが長期間空くことも珍しくない。その主な理由は、介護報酬が大都市東京の高い人件費に加えて物価、賃借料などを反映していないため、区部、市町村部共に介護事業者の経営が厳しく、職員の待遇改善が困難なためである。実際、介護報酬についての人件費率は、東京二十三区を含め北海道から沖縄県まで全国一律(施設サービスで四五%、在宅サービスで五五~七〇%)に設定されているが、大都市部事業者の実態とは著しく異なる。東京都の推計では、団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年に向けて毎年二千八百人の介護職員の増員が必要である。しかし、現在の状況が続くとそれも困難と言わざるを得ず、都内の高齢者にとって住み慣れた地域で安心して暮らし続ける上での影響も危惧される。都内の事業者は、質の高い人材の確保・育成・定着を進めるべく経営の強化に取り組んできたが、それにも限界がある。都内の高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、人材不足を解消し、福祉・介護の現場で質の高い人材の確保・育成・定着を進めることが不可欠である。そのため、特に大都市部の事業者に厳しい介護報酬を地域の特性を反映した仕組みに改めることを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、介護報酬に関わる人件費の割合を、全国一律ではなく、都道府県ごとの実態に応じた人件費率に見直すこと。
二、介護報酬の上乗せ割合に、人件費だけではなく、物価や土地・建物の賃借料についても勘案すること。

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