請願

 

第195回国会 請願の要旨

新件番号 34 件名 水俣病の全貌解明のため、不知火海沿岸及び阿賀野川流域住民(出身者を含む)の健康調査及び環境調査を行い、今後の水俣病対策にいかすことに関する請願
要旨  一九五六年五月一日、チッソ付属病院から、類例のない疾患が発生したと水俣保健所に報告された。この日から六十一年の歳月が経過した。また、熊本での経験がいかされないまま新潟水俣病が発生してから五十二年が経過した。水俣における環境異変や人体被害は、戦後間もなくから現れていた。遅くとも一九五九年には、チッソは、自身の猫実験により廃水が原因であることを認識していた。しかし、チッソは、増産に次ぐ増産を行い、一九六八年に五井工場(千葉県)での生産体制が整うまで垂れ流し続けた。また、国と熊本県は、この事実を知りながら患者を抑え込み、チッソの増産を擁護し、支援した。昭和電工もしかりである。正に、チッソ、昭和電工、国、熊本県は、水俣病の加害者として同罪である。このことは、最高裁判所も厳しく指弾したところである。胎児期や小児期に発症した患者の苦しみは今も続いている。自らの人生を狂わされた無数の患者の苦しみも同様である。加害者の責任で被害者に対して補償がなされるのは当然のことである。しかしながら、水俣病では、発生当初から加害者が患者選別の基準をつくり、権威の名の下に補償対象を選別してきた。しかも、被害を実相より小さく見せる意志の下に行われた。この結果、水俣病の症状がある多数の患者が国によって切り捨てられてきた。切り捨てられた患者は、自主交渉や裁判に立ち上がり、不当な切捨てを許さない闘いを続けてきた。紆余曲折(うよきょくせつ)はあったものの、不知火海沿岸及び阿賀野川流域に八万人に近い水俣病患者が存在することが明らかになり、なお救済を求める患者の闘いや裁判が続いている。癒やされぬ水俣病患者が存在し、いまだ補償されない多数の患者も潜在している。さらに、チッソが廃棄した水銀は環境中に放置されている。そして、あろうことか、JNCの株式を売却することによってチッソを消滅させ免罪するという動きも顕在化している。
 ついては、公式確認六十一年を経てもなお根本的な解決には至っていない状況を踏まえ、次の事項について実現を図られたい。

一、水俣病の全貌解明のため不知火海沿岸、阿賀野川流域住民(出身者を含む)の健康調査及び環境調査を行い、今後の水俣病対策にいかすこと。

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