請願

 

第189回国会 請願の要旨

新件番号 3181 件名 介護報酬引上げの再改定に関する請願
要旨  平成二十七年四月に改定された介護報酬は、介護サービスの充実にプラス〇・五六%、処遇改善にプラス一・六五%を除くとマイナス四・四八%の大幅なマイナスとなった。施設関係では特別養護老人ホームが基本報酬で五%を超える引下げ幅となり、小規模デイサービスでは約一〇%、予防通所介護・予防通所リハビリに至っては二〇%を超えるマイナス改定となっており、事業の継続が困難になるほどの下げ幅となっている。全国各地では既に採算の合わない事業所の閉鎖・撤退が始まっており、地域によっては介護報酬の引下げが住民から介護サービスを奪う事態となっている。社会保障の充実を理由に消費税八%増税を強行したにもかかわらず、今回のマイナス改定は断じて許されない。厚生労働省は今回の大幅切下げの理由として社会福祉法人の内部留保を挙げているが、地域住民の介護を守るほとんどの介護事業者は改定前の介護報酬の中でさえ内部留保どころか介護労働者の賃金確保で精いっぱいの状況である。都市部で利益を上げる一握りの事業者を例に挙げ、介護はもうかっているとの判断は明確な誤りである。広大な過疎地を抱える北海道では、利用者確保も難しく、事業所の撤退が相次ぎ、訪問看護など幾つかのサービスが利用できない自治体もある。また、処遇改善加算は介護職だけを対象にしているが、介護現場では看護師・ケアマネージャー・事務職・リハビリ技師・調理職など多様な職種の人が働いている。介護職場全体のバランスの取れた処遇改善には介護報酬自体の引上げが必要である。国が「医療介護総合確保推進法」で介護保険制度の運営自体を自治体に丸投げしようとする中、住民の介護を守り、地域の介護資源を維持するためには、介護経営の維持と、確保が困難である介護労働者の大幅な処遇改善が実施可能な、利用者負担によらない介護報酬の大幅プラス改定での見直しが不可欠となっている。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、次年度予算において、介護事業所と介護労働者が充実したサービスを提供できるよう、介護報酬引上げの再改定を行うこと。

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