請願

 

第189回国会 請願の内閣処理経過

件名 てんかんのある人とその家族の生活を支えることに関する請願
新件番号 2308 所管省庁 厚生労働省 内閣処理経過受領年月日 H28.1.27
処理要領 一 政府としては、精神保健医療福祉の一環として、てんかんについて施策を講じているところであり、平成十六年九月に策定した「精神保健医療福祉の改革ビジョン」において掲げた「こころのバリアフリー宣言」や平成二十一年九月に「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」において取りまとめた「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」に基づき、精神障害に関する正しい知識の普及啓発に取り組んでいる。 また、平成二十六年三月に策定した良質かつ適切な精神障害者の医療の提供を確保するための指針(厚生労働省告示第六十五号。以下「指針」という。)において、てんかんに関する正しい知識や理解の普及啓発を推進する旨を盛り込んだところである。
  このほか、公益社団法人日本てんかん協会と一般社団法人日本てんかん学会が定める「てんかん月間」については、 てんかんに関する正しい知識や理解の普及啓発を推進する観点から、政府としても後援しているところである。
  今後とも、これらの取組等を通じて、てんかんに関する普及啓発を進めてまいりたい。
二 平成二十五年六月に成立した障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律(平成二十五年法律第四十六号)により、平成二十八年四月から、事業主に対し、雇用の分野における障害者に対する差別が禁止されるとともに、障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置の実施が義務付けられるほか、障害者に対する差別等が行われている場合、必要に応じて厚生労働大臣が助言、指導又は勧告を行うことができることとなる。なお、現在においても、公共職業安定所において、障害者の職業の安定を図るために必要があると認めるときは、事業主に対して、障害者の雇入れ、配置等についての指導を行っている。
  また、職場において、てんかんにかかっていることを理由に解雇など雇用管理上の不利益な取扱いが行われることを防止するため、てんかんにかかっていても適切な配慮があれば十分に能力を発揮して働くことができることについて、関係省庁とも連携しつつ、周知啓発に努めてまいりたい。
  これに加え、公共職業安定所においては、障害者がその能力に適合する職業に就けるよう、個々の障害者の障害特性等に応じた就職支援に努めている。
  さらに、平成三十年四月から、てんかんにかかっている者を含む精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加わることとなるため、その円滑な施行に努めてまいりたい。
三 専門医については、現在、医学に関係する各学会が、それぞれの分野の医師の育成を目的として認定を行っており、てんかんについても、日本てんかん学会がてんかん専門医を認定している。非専門医に対する教育及び研修については、小児科医及び精神科医等を対象とした思春期精神保健対策医療従事者専門研修のカリキュラムで、てんかんについても取り上げられている。引き続きこのような機会を活用し、周知を図ってまいりたい。
  平成二十三年度から平成二十五年度までの厚生労働科学研究費補助金障害者対策総合研究事業(精神障害分野)「てんかんの有病率等に関する疫学研究及び診療実態の分析と治療体制の整備に関する研究」において、「てんかん診療ネットワーク」をインターネット上に作成し、全国の主なてんかん診療施設のリスト等を掲載し、地域診療と関連諸学会専門医が連携した「てんかん診療ネットワーク」の基盤を形成している。また、指針において、専門的な診療を行うことができる体制を整備し、てんかんの診療ネットワークを整備する旨を盛り込み、平成二十七年度からは、地域におけるてんかん支援体制モデルの確立のため、 「てんかん地域診療連携体制整備事業」を実施しており、 引き続き地域におけるてんかんの診療ネットワークの整備を進めてまいりたい。
  合併障害や併発症への対応については、指針において精神科と他の診療科の連携に係る取組を推進する旨を盛り込んだところであり、引き続き取組を進めてまいりたい。
  障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号。以下「障害者総合支援法」という。)第六条に規定する自立支援給付の支給決定及び支給認定の申請時に添付することとされている診断書の取得のための費用を公費負担とすることについては、新たな財源の確保が必要となること等を踏まえる必要がある。
  災害時における医薬品の供給体制については、地域の卸売業者を介した供給に加え、必要に応じて国や業界団体が連携して広域支援を実施する体制を整備するとともに、都道府県における医薬品備蓄により供給体制を整備している。また、東日本大震災においては、ガソリン不足により搬送に支障が生じたことを踏まえ、各 都道府県に対して災害時に医薬品搬送車両に対する優先給油が確保されるよう対策を講じる旨の要請を行うことなどにより、供給体制の強化を図ったところである。こうした取組により、抗てんかん薬も含め、災害時における医薬品の安定的な供給体制の確立を図ってまいりたい。
四 地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律(平成二十四年法律第五十一号。以下「改正法」という。)により、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)を踏まえた基本理念を障害者総合支援法に盛り込み、重度訪問介護の対象拡大並びにケアホーム及びグループホームの一元化等の見直しを行い、平成二十六年四月から施行されている。
  改正法により、平成二十六年四月から、「障害程度区分」を「障害支援区分」に改めたところであり、「障害支援区分」の認定については、てんかんにかかっている者を含む精神障害者の特性に応じて適切に行われるよう、認定業務に携わる者の資質の向上を図る取組等を行っている。
  てんかんを含む精神医療及び保健福祉に関する相談に対応する精神保健福祉センター等では、相談指導を行う際に、必要に応じて関係諸機関の協力を求めることとしている。
  引き続きてんかんにかかっている者を含む障害者が地域社会で安心して暮らすことができる体制の整備に取り組んでまいりたい。

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