請願

 

第174回国会 請願の要旨

新件番号 1181 件名 最賃千円以上と全国一律最賃制確立に関する請願
要旨  輸出型大企業を中心に企業収益は改善しているが、国内の景気は依然として冷え込んでいる。賃金・賞与の抑制に雇用不安が重なり、多くの人々が財布を固く締めているからである。政府も家計支援で個人消費を拡大する政策を採ると言っているが、最低賃金の引上げこそが、第一に実践されるべきである。労働者の三人に一人はワーキング・プア水準の低賃金であり、これを放置しては内需主導の経済回復は望めない。問題は低過ぎる最低賃金にあり、健康で文化的な最低限の生活を保障するため、生活保護を下回らないようにと法律で定められているが、実際には法定労働時間の上限時間働いても、まともな生活を支えるには足りない。各政党は、最低賃金一、〇〇〇円以上、全国(一律)最低賃金制確立を公約に掲げている。中小企業には厳しいとの意見もあるが、欧州の先進諸国は購買力平価で月額二〇万円、時間額一、〇〇〇円以上が当たり前であり、それでも中小企業は破綻(はたん)せず、最低賃金をしっかりさせることで、地域経済と中小企業が潤う経済を成り立たせている。日本でも、中小企業への経営支援を強化しつつ最低賃金を引き上げ、地域から消費を活性化させて、持続的な経済成長への道を開くよう求める。さらに、まともな水準に引き上げた最低賃金と、生活保護、年金、業者・農民の自家労賃、家内工賃、下請単価、税金の課税最低限等との整合性を図り、ナショナル・ミニマムを確立することで、国民が安心して暮らせる社会をつくるよう求める。
 ついては、二〇一〇年度の最低賃金改定に当たり、次の事項について実現を図られたい。

一、最低賃金を時間額一、〇〇〇円以上とすること。
二、地域間の最低賃金格差を縮小させ、全国一律最低賃金制の確立を目指すこと。
三、最低賃金審議会の委員が特定系統の労働組合の推薦者に限られている現状を変えること。専門部会の委員を公募し公正に任命すること。専門部会で非正規労働者の意見陳述の機会を設けること。地域で公聴会を開催し、広範な労働者の意見を聴取し反映させること。
四、特定最低賃金(産別最賃)の金額を引き上げること。申出要件を緩和し、新設しやすくすること。
五、家内労働者の最低工賃を引き上げること。未適用の家内労働業種について新設すること。

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