請願

 

第174回国会 請願の要旨

新件番号 760 件名 建設労働者の労働条件向上、安心安全の建設産業の実現に関する請願
要旨  建設労働者は、厳しい状況が続いており、仕事がない、多くの労働者がワーキングプアの状態に置かれているなど将来展望が見えない。一方、前原国土交通大臣は、公共投資などの減少を理由に一層の建設業者の淘汰(とうた)を公言し、「行政サービスを受けたかったら田舎に住むな、都会に移れ」、さらには国土保全に重要な役割を果たす防災事業について「やり始めたら切りがない」とも言っている。憲法を遵守し、国民生活の向上に努めるべき国土交通大臣としてふさわしくない発言であり、撤回を求める。今、必要なことは公共事業の中身を大プロ中心から防災・生活関連・環境分野に転換し、地域住民にとって安心安全な社会資本整備を行うことを通じて、日本の基幹産業を支える中小建設業者の仕事確保を行うことである。そして、建設産業に働く者が健康で安全に人間らしく働けるルールが必要である。同時に、国がその危険性を十分認識しながら対応しなかったアスベスト被害についても、国の責任を認めた上で、その補償と被害根絶へ総合的な制度を確立することを求める。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、地方への補助金も含めた公共事業の予算配分を橋梁(きょうりょう)・下水道・トンネルなどの公共構造物の点検補修を含めた維持管理など生活関連事業や防災中心に切り替え、中小建設・建設関連業が優先的に受注できる施策を実施すること。
二、公共工事の契約に当たり建設労働者の賃金、労働条件が持続的に改善できるようにすること。
 1 ダンピング受注や指し値発注によって建設現場で働く労働者の賃金が切り下げられたり、賃金の不払問題が発生しないよう建設業界の指導監督を強化すること。
 2 ダンピング受注を防止するために最低制限価格などの失格基準を設けること。
 3 二省協定の設計労務単価は、市場調査と標準生計費を考慮の上、建設労働者が「健康で文化的な」暮らしができるような価格とすること。
三、官公需法に基づく中小業者向け発注率を増やすとともに、年度目標を達成すること。土木工事の施工に当たり、設計図書に含まれる「ダンプ規制法」第一二条団体等の使用促進をすべての請負者に徹底すること。
四、社会資本整備で、国の責任を放棄し「地方切捨て」、国民の安心・安全の切捨てにつながる民間開放・地方委譲は行わないこと。また、公共事業費の予算配分を防災・生活関連・維持管理に重点配分するとともに、国土交通省の地方整備局・事務所・出張所の組織は、災害時でも迅速に対応できる体制にすること。国土交通省の職員を現在よりも削減しないこと。
五、国土交通省や都市再生機構における業務発注支援業務や車両管理業務、管理センター業務などの業務発注において、現行・先行の入札方式が労働者の解雇や賃金労働条件切下げ競争につながっていることを抜本的に改め、これらの業務にふさわしい専門性・継続性・労働条件を確保できる契約方式に改めること。

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