請願

 

第169回国会 請願の内閣処理経過

件名 てんかんのある人とその家族の生活を支えることに関する請願
新件番号 2792 所管省庁 厚生労働省 内閣処理経過受領年月日 H21.2.4
処理要領 一1 てんかん治療に対する通院医療も含めて、障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)に基づく自立支援医療においては、精神通院医療の自己負担額に対して、自己負担割合額が最大でも一割とするよう公費で助成する仕組みとしているところである。
 その中で、低所得の者や継続的に相当額の医療費負担が発生する者など、医療費が過度の負担となる者に対しては、所得に応じた負担上限額を設定し、更なる軽減措置を図っており、無理のない負担となっているものと考えている。
2 てんかんの専門治療を行っている旨、てんかんの専門治療を行う医療機関のネットワークに参画している旨等の情報を医療機関が広告することについては、現行制度においても可能である。今後とも、適切な情報提供の推進を通じて、患者及び国民による適切な医療の選択を支援してまいりたい。
3 従来から、「外国で実施された医薬品の臨床試験データの取扱いについて」(平成十年八月十一日付け医薬発第七三九号厚生省医薬安全局長通知。以下「局長通知」という。)に基づき、医薬品の有効性及び安全性に民族的要因が影響しないことを示すデータの提出があれば、海外の治験データを活用して承認申請することが可能であり、これにより治験の国際的な重複を防ぎ、結果的に国内での治験の簡略化が図られているところである。厚生労働省としては、御指摘の「海外での使用が一定カ国、一定期間以上経過した」という要件をもって国内での治験の簡略化を行うことは困難であるが、局長通知の内容について、より一層の周知徹底を図ることにより、迅速に医薬品の承認が可能となるよう努めてまいりたい。
二1及び2 てんかんにかかっている者が地域で暮らすためには、ケアホームやグループホーム(以下「ケアホーム等」という。)のサービス基盤を地域において整備することが重要であると認識している。このため、障害者自立支援法においては、市町村等が障害福祉計画を定め、必要なケアホーム等の障害福祉サービスの基盤を計画的に整備しているところである。
 また、ケアホーム等の整備を推進するため、平成二十年度予算において、新たにケアホーム等を整備する場合の費用について補助することとしたところである。
今後とも、てんかんにかかっている者が地域で安心・安全に暮らせるようにするための障害福祉サービスの基盤の整備に取り組んでまいりたい。
三1 てんかんにかかっている者が利用できる精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)第四十五条に規定する精神障害者保健福祉手帳については、従来、写真の貼付を求めておらず本人確認が困難であったこと等から、他の障害者手帳と異なり、公共施設の入場料や公共交通機関の運賃に対する減免等の支援の協力を得にくい実態もあったところであるが、こうした課題に対応するため、平成十八年十月一日から手帳の様式を見直し、写真貼付を義務付けすることとしたところである。
 現在、障害者に対する公共交通機関の運賃割引については、各交通事業者の自主的な判断に基づき、また、高速道路における障害者に対する料金割引については、高速道路会社等の有料道路事業者の申し合わせにより、主として身体障害者及び知的障害者に対して実施されているが、これは、割引による減収を一般的に他の利用者の負担によって賄う形で行われているものである。
 てんかんにかかっている者に対する運賃・料金割引についても、基本的に交通事業者及び有料道路事業者の自主的な判断に係る問題であるが、請願の趣旨については交通事業者及び有料道路事業者に周知してまいりたい。
四1 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律(平成十七年法律第八十一号)においては、てんかんにかかっている者を含む精神障害者の雇用支援策の充実・強化を図る観点から、精神障害者を事業主が雇用した場合、当該精神障害者を雇用率の算定対象に加えることとされた。
 一方、精神障害者の雇用状況については、平成二十年六月一日現在の障害者雇用状況報告によると、民間企業に雇用されている障害者の雇用数が約三十二万六千人であるのに対し、精神障害者は約六千人にとどまっており、近年就職件数が増加しているにもかかわらず、企業の雇用者数はそれに見合ったものとなっていない状況が見られるところである。
 このため、政府としては、引き続き、企業の精神障害者に対する理解を促進するとともに、精神障害者の特性に応じた支援策を充実・強化していくことが重要であると考えており、このような取組を行う中で、精神障害者の雇用状況を見つつ、精神障害者を雇用義務の対象とするかどうかについて検討してまいりたい。

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