請願

 

第169回国会 請願の内閣処理経過

件名 ジストニアの難治性疾患克服研究事業への指定及び症状に対する障害認定と治療環境改善に関する請願
新件番号 2478 所管省庁 厚生労働省 内閣処理経過受領年月日 H21.2.4
処理要領 一 原因が不明で根本的な治療方法が確立しておらず、患者数が少なく、生活面で長期にわたる支障をきたす疾患であって、全国規模で研究を行わなければ原因の究明や治療法の開発等が進まない疾患については、診断・治療法等の研究開発を推進することを目的として、厚生労働科学研究費補助金により難治性疾患克服研究事業を実施している。
 難治性疾患克服研究事業の対象疾患の選定は、学識経験者から構成される特定疾患対策懇談会の意見を踏まえて行うこととしており、対象疾患の追加については、同懇談会において専門的観点から適切に検討がなされていくものと考えている。
二 身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)においては、身体機能に一定以上の障害が存在し、かつ、その障害が永続し、固定している者について、「身体障害」の認定を行い、身体障害者手帳を交付しているところである。よって、ジストニアという疾患・症状であることのみをもって身体障害者認定を行うことは困難である。また、身体障害の認定基準は、疾病・障害認定審査会の身体障害認定分科会において、他の障害とのバランスを維持しながら、医学的、専門的観点から審議された結果に基づき定められており、障害認定枠の拡大については、かかる見地から慎重に検討する必要があると考えている。なお、前述の考え方や認定基準に該当する場合には、障害の原因となった疾病にかかわりなく、身体障害の認定がなされるものである。
 また、障害年金は、障害により日常生活に支障を来した場合又は日常生活に著しい制限が加えられることにより稼得能力が減少した場合に、生活の安定が損なわれることの防止を目的とする所得保障のための制度である。現在の障害年金の認定基準は、病気ごとに定められているものではなく、日常生活能力や稼得能力が一定程度以上制限されていることについて、身体の機能又は精神若しくは神経系統などの状態から判断するものとなっており、ジストニアに起因する障害についても、身体の機能又は精神若しくは神経系統などの状態から、障害年金の認定基準に該当するかどうかについて個別具体的に判断しているところである。
三1 ボツリヌス治療については、御要望の症状に係る効能・効果に対する薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)上の承認が、対象となる医薬品についてなされれば、健康保険適用についても検討されることとなるものである。
 2 脳深部刺激については、御要望の症状に係る使用目的、効能又は効果に対する薬事法上の承認が、対象となる医療機器についてなされれば、健康保険適用についても検討されることとなるものである。
 3 はり師の施術において健康保険適用(療養費の支給)の対象となるものは、慢性病であって、医師による適当な治療手段のないものとしており、医学的な見地から、はり師の施術を受けることを医師が認め、これに同意した場合に療養費が支給される。
 具体的な対象疾患は、主として神経痛及びリウマチ並びに類似疾患として頸腕症候群、五十肩、腰痛症及び頸椎捻挫後遺症と定めているが、慢性的な疼痛を主症とするものについても、神経痛やリウマチなどと同一範疇と認められる疾患であれば、支給要件に該当するかどうかを保険者において個別的に判断し、支給の適否を決定することとしているところであり、ジストニアへのはり治療の健康保険適用(療養費の支給)を完全に排除しているものではない。
四 ボツリヌス治療のための医薬品については、A型ボツリヌス毒素製剤として、百単位製剤(販売名はボトックス注100。)の製造販売について承認されているほか、平成二十年十月に、その半量である五十単位製剤(販売名はボトックス注50。)について、眼瞼痙攣等を適応症としてその製造販売について承認され、使用量に応じた製剤の選択が可能となっている。
五 ジストニアに関するボツリヌス療法については、現在、国としては研修を行っていないが、医師が自らの臨床経験又は関係する学会の活動等を通じて、技術の向上を図っているものと考えている。

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