請願

 

第168回国会 請願の要旨

新件番号 270 件名 高等教育予算の大幅増額、私大経常費二分の一補助の実現、父母・学生の学費負担軽減に関する請願
要旨  私立大学・短期大学(以下「私大」)は、国民の高等教育を受ける権利を保障する役割を担い、そのため私立学校振興助成法は教育条件の改善、学費負担の軽減等のため、経常費の二分の一補助の早期達成を目標として定めている。また一九七五年の参議院文教委員会附帯決議では、「私立大学に対する国の補助」を「できるだけ速やかに二分の一とするよう努めること。」とされている。ところが私大経常費への補助率は、一九八〇年度の二九・五%をピークに減少し、二〇〇五年度には一一・九%まで低下し、学生一人当たりでは私立大学一六万六千円、私立短大一六万二千円と、国立大学と比較して一八分の一程度でしかない。経常費補助が長年低水準に据え置かれたため、私大の教育研究条件の改善・充実を学費に依存せざるを得ない構造がつくり出され、国際的にも異常な高学費のため、進学や修学を断念せざるを得ない学生が毎年生まれている。世界的に見ても、日本の高等教育予算はOECD加盟国の中で最低水準であり、また国際人権規約の高等教育の漸進的無償化条項を留保し続けているなど、日本の高等教育政策は余りに貧困と言わざるを得ない。大学が本来持つ機能・役割を自律的に果たすことによって、地域・日本・世界の発展に貢献するためには、高等教育予算を大幅に引き上げることが必要である。そして私大全体の教育研究条件の改善・充実を進め、父母・学生の学費負担を軽減する総合的な施策を実現し、だれもが安心して大学教育を受けることができるようにすることが求められる。
 ついては、当面、次の措置を速やかに採られたい。

一、高等教育予算をOECD平均(対GDP比一・〇%)並みに増額すること。
二、一般補助を軸に、私大経常費二分の一補助を早期に実現をすること。
三、父母・学生の学費負担を軽減するため次の施策に取り組むこと。
 1 学費直接助成制度を実現すること。
 2 育英奨学事業について、無利子枠の拡大、給費制の創設など改善・充実を図るとともに、奨学金受給率の国公私立間の格差を是正すること。
 3 私学教育費減税を実施すること。
四、学校法人が実施する、経済的に修学困難な学生に対する奨学事業への補助を、国立大学の学費減免制度と同水準となるよう補助額の大幅な増額を図ること。
五、国際人権規約第一三条(c)高等教育の漸進的無償化条項の留保を撤回すること。

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