請願

 

第166回国会 請願の要旨

新件番号 2136 件名 産む側の意見を取り入れた対策に関する請願
要旨  少子化が進む中、産みたい人の意志を尊重し産む場所を確保するのは重要であるが、実際には産科医の不足による出産場所の減少が深刻な問題となり、産みたい人が産む場所を選べなくなりつつある。厚生労働省は産科医不足の解消策として大病院への集約化を進めているが、これにより身近に出産場所がなくなって遠くの病院まで行かなくてはならない人が増えている。大きなお腹を抱えて長い距離を通院する大変さ、お産が始まってから病院へ向かうまでのリスク等を考えると産みたくてもあきらめる人も多く、産む意欲や機会を奪ってしまう。医師一人当たりの負担を軽減するという目的はあっても、産む側の意見や立場は反映されていない。また改正医療法第一九条が平成一九年四月より施行され、助産所の開設要件として嘱託の産科医と嘱託病院を定めることが義務化されたが、産科医や産科病院そのものが減少する中、助産師側だけの努力でこの要件を満たすことは困難で、今のままでは多くの助産所が来年の四月には廃業せざるを得なくなる。安全のために病院と助産所の連携を強めるのは悪いことではないが、産科医の絶対数が少ない現状でこの法律は現実的とは言い難い。開設要件を強化するにはそれに先立って受入体制も充実させ、根本の問題である産科医不足を解消する必要があり、環境が整うまで猶予期間を延期すべきである。助産院が閉鎖された場合そこでお産ができなくなった人は近隣の産院に行くため、結果的に産科医は更に忙しくなる。産科医不足ならば正常分娩の担い手である助産師の力を活用し、お互いに協力しながら負担を減らす方法を採るべきである。助産所でのお産件数は少ないが、切り捨てるのではなく、少数でも産む意思のある人から産みたい場所を奪わないことを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、産科医不足の解消策として一律に集約化を進めるのではなく、産む側の意見も取り入れてそれぞれの地域の実情に合った対策を採ること。
二、改正医療法第一九条の適用は、産科医不足が解消して受入体制が充実するまでは、猶予期間を延期し、きちんとした経営を行っている助産所が閉鎖されることのないよう、お産場所を減らさないように保障すること。

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