請願

 

第166回国会 請願の要旨

新件番号 546 件名 新・腎疾患対策の早期確立に関する請願
要旨  我が国の透析患者数は二〇〇五年末で約二六万人となっており、年間一万人を超える透析患者が増えている。特に近年の特徴は患者の高齢化と糖尿病性腎(じん)症の患者の急増である。一方、透析技術の飛躍的進歩により長期延命が十分可能になり、患者は健常者と変わらない高い生活の質を得ている。日本透析医学会の調査では一〇年以上の透析経験を持つ患者はおよそ六万人になろうとしている。高齢者や、糖尿病から腎不全になる患者が急速に増える一方で、多数の患者が社会復帰をしており労働とともに様々な社会活動にも参加している。他方で患者の高齢化、長期透析患者の合併症など、日常生活に多くの困難を抱えている患者は増えている。また、糖尿病性腎症を原疾患とする透析患者の場合も視力障害を始め、下肢障害など合併症の重度化・重複化により不自由な日常生活を余儀なくされている。一五%以上の透析患者が何らかの介護を必要としており、長期入院施設、透析治療が可能な介護・生活施設が不足している。腎臓病患者の実態を踏まえ、全腎協が提起した新・腎疾患対策を早期に確立するよう強く求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、腎臓病及び糖尿病性腎症の予防対策と腎不全・透析治療に移行しないための啓発活動を広く国民運動として取り組むこと。
二、腎臓病の原因究明の研究を推進すること。
三、年齢、障害の種別、程度を問わず、必要なすべての人に介護・支援が保障される制度を確立すること。
四、通院の困難な在宅の透析患者のために、ホームヘルパーの増員、移送支援など通院介護保障体制と医療と福祉の連携による総合的対策を確立すること。
五、院内感染を含む医療事故を防ぐための対策を強化すること。
六、医師、看護師、ホームヘルパーなどの医療・福祉従事者不足を早急に解消し大幅な増員対策を具体的に講じること。
七、臓器移植推進のための啓発・広報活動を強化するとともに、都道府県所属の移植コーディネーターの増員と身分保障を確立し、さらに院内コーディネーターを増員するよう指導すること。
八、災害時における透析医療の確保と患者の避難・移動を確保する体制を確立すること。

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