請願

 

第166回国会 請願の要旨

新件番号 288 件名 建設労働者の労働条件向上、耐震偽装問題の根本解決に関する請願
要旨  アスベスト(石綿)による健康被害が社会問題になったが根本解決は図られていない。政府は被害の可能性を三○年前から認識しながら対策を講じることなく健康被害を拡大してきた。昨年、成立した「アスベスト新法」もすべての被害者を救済するという当初の目的を果たすものとはなっておらず、早急な改善が必要である。建設産業に働く労働者は、公共事業費の急激な減少の一方で、低入札受注問題が深刻な実態に陥っており、公共事業の質を低下させるとともに現場労働者の労働条件悪化や産業廃棄物の不法投棄などの違法行為も引き起こしている。さらに、耐震偽装問題では、従来の建築確認制度の不備が浮き彫りにされ、これを放置してきた国・国土交通省の責任が問われる状況となっている。建設産業の技術力・技能を正しく継承し、良質な社会資本を整備する建設産業としての役割を十分に果たすことが求められている。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、建設労働者の賃金・労働条件向上
 1 公共工事において、現場労働者に適正な賃金の確保が行われるよう「公共工事における賃金確保法(公契約法)」を制定すること。
 (一)予定価格を作成するための積算方式は、建設労働者の賃金引下げのおそれが高いユニットプライス方式を導入しないこと。
 2 公共工事の契約に当たり建設労働者の賃金、労働条件が持続的に改善できるようにすること。
 (一)ダンピング受注や指し値発注によって建設現場で働く労働者の賃金が切り下げられたり、賃金の不払問題が発生しないよう建設業界の指導監督を強化すること。
 (二)ダンピング受注を防止するために最低制限価格などの失格基準を設けること。
 (三)二省協定の設計労務単価は、市場調査と標準生計費を考慮の上、建設労働者が健康で文化的な暮らしができるような価格とすること。
 3 官公需法に基づく中小業者向け発注率を増やすとともに、年度目標を達成すること。また、現場説明指導事項となっているダンプトラックなどによる過積載防止について「ダンプ規制法」第一二条指定団体等の使用促進を一層進めること。過積載防止のためにも適正な定量積載単価が支払われるよう建設業界を指導すること。
 4 公共事業を大規模プロジェクト優先から、暮らしに役立つ福祉・防災・環境重視へ転換すること。公共事業発注官公庁及び独立行政法人等の体制を拡充し、最先端の現場を担う事務所・出張所などの出先機関を優先して必要な職員を確保すること。
二、耐震偽装問題根本解決
 1 居住者の安全確保・生活再建を最優先するとともに、補償問題について十分な措置を講じること。
 2 耐震偽装問題における国、国土交通省の責任を明確にすること。同時に問題の全容解明を早急に行うこと。
 3 建築確認・完了検査体制の抜本的見直しを行い、行政の確認・検査体制を充実するとともに再発防止策を講じること。

一覧に戻る