請願

 

第166回国会 請願の要旨

新件番号 23 件名 重国籍容認に関する請願
要旨  海外で生活する日本人、日本で生活する外国人、重国籍を持つ子供たちは、日本が成人の重国籍を原則的に認めないことから、様々な問題に直面している。日本が準拠している国籍唯一の原則は、欧州において既に修正されている。一九九七年欧州評議会は、一九六三年の重国籍削減条約を根本的に見直し、国籍規約によって国籍唯一の原則を完全に修正した。欧州諸国は重国籍を認める傾向を一層強めている。規約では、人の国際移動と国際結婚が増大する中で、定住国での権利保障と国際結婚の家族の生活について配慮することが念頭に置かれている。ほかにも北米、南米では重国籍容認国が一般的である。欧州においては重国籍削減条約を批准しなかった国も多く、批准しても重国籍削減は実現できなかった。国際交流を深めようとする社会において、国家間の法的な矛盾、権利の空白など個人にとって深刻な問題が解決できないでいる。社会的救済という意味でも重国籍容認が求められている。今までの国籍を放棄することは、その国との法的きずなを放棄することであり、後の人生において出身国に帰る事情が生じた場合、不都合を生じる可能性があることから、現在居住している国の国籍を取得しない人も多いのが現状である。同じことが在外日本人にも当てはまり、日本国籍を維持できるなら、居住国の国籍を取得したい人は多くいる。二重国籍となっている子供たちに父母のどちらかを選ばせるように、どちらかの国の法的きずなを放棄させることも妥当ではない。国家は日本社会で生活する者に基本的権利を保障し、更なる社会の発展を促すためにも、国籍を加算させる形で付与すべきである。それは個人の自己決定権の尊重、民族少数者への権利擁護につながる。重国籍者は係争国関係にあった場合、どちらへの忠誠を誓うのか、などという疑問点が指摘されているが、日本国憲法は戦争を放棄しているので、この種の忠誠の衝突はそもそも問題とならない。むしろ重国籍容認は、国境を越えた平和と友好関係の象徴であり、国内外の他民族同士が平和的に共存することの励ましとなる。重国籍容認は、多くのメリットを生み出し、デメリットの少ないことが確認されつつある。重国籍を容認する国際的な潮流について、国会も検討することを望む。国際化社会の実態に即さない政策により、国際的に活動する人たちが、今後不利益を受けることがなくなるように、重国籍を容認し、これに伴い国籍法第五条第一項第五号、第一一条、第一四条、第一五条及び第一六条を廃止することを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国内に住む外国人への重国籍を容認すること。
二、国外に住む日本人への重国籍を容認すること。
三、重国籍を持つ子供たちに成人後もそれを容認すること。

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