請願

 

第164回国会 請願の内閣処理経過

件名 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願
新件番号 969 所管省庁 厚生労働省 内閣処理経過受領年月日 H18.11.8
処理要領 一 腎疾患による腎臓の機能の障害を有する者で介護を必要とするものを含め、介護を必要とする者に対しては、障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)や身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)に基づき、必要な在宅サービス及び施設サービスの提供を行っているほか、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)に基づき、六十五歳以上の要介護状態又は要支援状態にある者及び四十歳以上六十五歳未満の加齢に起因する疾病により要介護状態又は要支援状態にある者に対して、必要な介護サービスを提供している。
今後とも、これらの施策を進めることにより、介護サービスの適切な提供が図られるよう努めてまいりたい。
二 透析患者の重症化及び障害の重複化に対する医療面の対策としては、厚生労働科学研究費補助金による循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業等により、腎疾患に関する研究に対して助成を行う等、効果的な治療の在り方等に関する研究を進めているところである。
また、腎疾患による腎臓の機能の障害を有する者で介護を必要とするものを含め、介護を必要とする者に対する福祉面の対策としては、障害者自立支援法において、介護サービスの拡充のために国の費用負担を義務化することなどを通じ、その計画的な整備を推進しているところである。
三 障害者自立支援法においては、各市町村及び都道府県に、ホームヘルプサービスを始めとする福祉サービスに関する数値目標を盛り込んだ障害福祉計画の策定を義務付けており、各地方自治体においては、地域の実情に応じて障害福祉計画を作成し、通院介護も含めた福祉サービスの整備が進められるものと考えている。政府としても、障害福祉計画策定のための技術的支援や、福祉サービスの提供に係る財政支援を行ってまいりたい。
四 「二十一世紀における国民健康づくり運動(健康日本二十一)」(平成十二年三月三十一日付け健医発第六百十二号厚生省保健医療局長通知)において、糖尿病の一次予防の推進を図る観点から、生活習慣の改善、糖尿病有病者の早期発見及び治療の継続について目標を設定するとともに、平成十五年五月一日に施行された健康増進法(平成十四年法律第百三号)に基づき定められた国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針(平成十五年厚生労働省告示第百九十五号)を踏まえ、きめ細かな健康情報の提供を推進しているところである。
具体的には、食生活の改善を図ることで生活習慣病を予防する観点から、「食生活指針」を策定し、さらに具体的な行動に結びつけるために、「何を」「どれだけ」食べればよいかを分かりやすく示した「食事バランスガイド」を平成十七年六月に策定し、その普及啓発を進めているところである。
また、運動習慣の定着を図ることで生活習慣病を予防する観点から、これまでの種々の研究の成果に基づき、生活習慣病を予防するための身体活動量・運動量・体力の基準値を示すとともに、その内容を分かりやすく広く国民に向けて発信するものとして、「健康づくりのための運動指針2006(エクササイズガイド2006)」を平成十八年七月に策定し、その普及啓発を進めているところである。
五 急速な少子高齢化の進展の中で、保健医療サービス及び福祉サービスの担い手となる看護師、訪問介護員等の人材確保は極めて重要な課題であり、看護師等の人材確保の促進に関する法律(平成四年法律第八十六号)や社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に基づき、資質の向上、養成力の強化、就業の促進、処遇の充実、離職の防止等総合的な対策を推進しているところである。
看護師等については、平成十八年度において、引き続き、院内保育施設及び看護師等養成所の運営並びに看護職員の確保が困難な医療機関を対象とする就労確保に向けた総合的な支援事業に対する国庫補助を行っているところである。
また、訪問介護員についても、平成十八年度において、引き続き、資質向上を図るとともに離島等でのサービス確保の観点から、国庫補助を行っているところである。
六 臓器の移植に関する法律(平成九年法律第百四号)において、地方公共団体は、移植医療について国民の理解を深めるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない旨規定されていることを受け、各都道府県においては、都道府県臓器移植連絡調整者(以下「都道府県コーディネーター」という。)を、腎バンク、病院等の臓器移植対策の推進に適すると認める場所に設置しているところである。このため、都道府県コーディネーターの増員及び個々の都道府県コーディネーターの就業条件等その身分に係る取扱いについては、都道府県において決定されるものであると考えている。また、院内コーディネーターの設置についても、地域の実情に応じた、都道府県における移植医療の 推進のための取組の一つと考えている。
なお、政府としては、都道府県コーディネーターには、移植医療を含めた医学的知識や法制度等について一定以上の理解や知識が求められるものであると認識しており、このため、その質を担保する観点から、医療有資格者等であって社団法人日本臓器移植ネットワーク(以下「ネットワーク」という。)が行う試験に合格したものであること等その採用に当たって求められる基準を示すとともに、ネットワークにおいて行う研修に対して国庫補助を行うほか、都道府県コーディネーターがネットワークの指揮命令下であっせん業務を行う際の活動費について国庫補助を行っているところである。
七 大規模災害発生時の人工透析に係る医療体制については、厚生労働省防災業務計画(昭和四十三年十二月十三日付け厚生省総第百八号通知)において、被災都道府県は、
(一)社団法人日本透析医会が提供する被災地等における人工透析患者の受療状況や透析医療機関の稼働状況に係る情報を、透析患者や患者団体に提供すること
(二)透析医療機関における水・医薬品等の確保等の必要な措置を講ずること
とされており、政府としては、大規模な災害が発生する都度、被災都道府県及び社団法人日本透析医会に対して、同計画に基づく人工透析提供体制の確保に遺漏なきよう通知しているところである。
今後とも、大規模な災害発生時にも対処できる透析治療体制の確立に向けて、都道府県及び社団法人日本透析医会と連携して、適切に対応してまいりたい。

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