請願

 

第159回国会 請願の内閣処理経過

件名 子供虐待への対応と児童養護施設の改善に関する請願
新件番号 659 所管省庁 厚生労働省 内閣処理経過受領年月日 H16.11.4
処理要領 一 地域小規模児童養護施設については、地域社会の中で近隣住民と適切な関係を保持しつつ、家庭的な環境の中で児童を養護することにより、入所児童の心身の安定を図りながら社会的自立を促進する有意義なものであると認識しており、これまでも、施設の運営に必要な費用について補助してきたところであるが、平成十六年度予算においては、補助の対象とする施設数を四十か所から百か所に拡充したところである。また、平成十六年度予算においては、地域小規模児童養護施設の施設整備に要する費用も新たに補助の対象としたところである。今後とも、地域小規模児童養護施設の整備を進めてまいりたい。
 また、里親制度については、家庭的な環境の中で児童の養育が行われる有意義な制度であり、その普及を図るための施策を推進しているところである。具体的には、里親制度の拡充として、平成十四年度に、三親等内の親族の里親登録も可能とする親族里親制度や虐待を受けた児童等を対象とする専門里親制度を創設するとともに、里親の養育負担を軽減するため、里親の休息のために一時的に委託児童を児童養護施設等に預かる制度(レスパイト・ケア)を導入したところである。さらに、平成十六年度においては、里親からの求めに応じ、その養育を援助する者を派遣する里親養育援助事業等を創設したところである。こうした中、昭和三十年代以降、減少し続けていた委託里親数、委託児童数については、ここ数年増加に転じたところである。
 今後とも、このような各種の取組を総合的に推進し、地域小規模児童養護施設の整備や里親制度の普及により家庭的な環境での社会的養護の提供の拡大に努めてまいりたい。
二 職員配置基準については、平成十六年度予算において、児童福祉施設最低基準(昭和二十三年厚生省令第六十三号)に規定する職員配置基準に上乗せする形で、家庭復帰に向けて総合的な家族調整等を行う家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)や、児童との間で一対一の関係を作り個別対応等を行う被虐待児個別対応職員を全ての児童養護施設に配置することとしており、実質的に職員配置状況の改善を図っているところである。
 また、居住環境については、思春期の児童には個室を用意するなど、子どもの発達段階に合わせて適切に配慮する必要があるため、平成十二年度に、児童養護施設の施設整備の際の補助基準面積を改善するとともに、地方自治体等に対し、建て替えに際しては、思春期の児童等のプライバシーに配慮し、個室等の適切な居住環境の確保に努めるよう指導しているところである。
三 家庭・在宅支援対策の推進については、平成十五年七月に成立した児童福祉法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百二十一号)により、児童養護施設等の長は、地域の住民に対して、その行う児童の保護に支障がない限りにおいて、児童の養育に関する相談に応じ、助言を行うよう努めることとされたところであり、平成十七年四月一日から施行されることとなっている。また、平成十六年度予算においては、家庭復帰に向けた家族調整等の対応力の強化を図るため、家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)を全ての児童養護施設に配置することとしたところである。今後とも、こうした家庭支援、在宅の児童に対する支援を推進してまいりたい。
四 心理療法担当職員については、虐待を受けた児童等、心理療法を必要とする児童の増加にかんがみ、平成十一年度に当該職員の配置に要する費用の補助を開始したところである。心理療法担当職員を置く児童養護施設数は、平成十五年度では二百六十五施設となるなど毎年増加しているところであり、また、当該職員の処遇については、その勤務形態等に見合った補助単価の設定に努めているところであるが、今後とも、心理療法担当職員の適切な処遇の確保と配置の推進に努めてまいりたい。
五 児童家庭支援センターについては、その運営に要する費用を補助し、平成十四年度には施設の設置要件を緩和するなど、その整備を促進してきたところである。今後とも、児童家庭支援センターの整備の推進に努めてまいりたい。

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