請願

 

第155回国会 請願の要旨

新件番号 171 件名 計理士に対する公認会計士資格の付与に関する請願
要旨  昭和四十二年八月、「計理士の名称使用に関する法律」が制定され、職業会計人として、計理士業務を今日まで遂行し、我が国産業経済の発展に寄与している。
 ついては、計理士の既得権を遂行できるよう時代の趨勢(すうせい)にかんがみ、計理士に公認会計士資格付与の措置を講ぜられたい。

   理由
 職業的会計専門家たちが、健全な職業会計人制度確立の必要性を痛感し、永年にわたって立法化運動を進めた結果、昭和二年、ようやく計理士法の制定を見るに至り、我が国唯一の職業会計人として計理士が誕生した。旧計理士法は、業界多年の要望に反して、その内容が極めて不備であり、業界は、直ちにその改善を政府に強く要請したが、理解を得られず、改善を達成しないままで終戦を迎えた。もしも業界が要望する方向(計理士団体の特殊法人化、国家試験制度の確立、制限業務の法制化)に改善されていたならば、戦後、占領政策に基づく公認会計士制度を新設されることはなく、計理士の既得権の剥奪(はくだつ)など起こり得なかった。戦後、連合軍の占領政策の一環として、公認会計士法が一方的に制定されたため、計理士が、多年培ってきた既得の権益を奪われて社会的にも経済的にも多大な損失を受けた。計理士に対するこのような過酷な措置は、正常な法治国にあっては到底あり得ないことであり、我が国におけるほかの自由職業で占領下に改正された場合でもすべて既得権が認められており、また諸外国にも前例がない。以上の経緯から、計理士業界は、昭和二十三年公認会計士法制定以来、既得権回復の運動を繰り返し行ってきた。その結果、十数回にわたる同法の一部修正のほかに、特別試験、検定試験あるいは計理士のみを対象とした特例試験制度等の措置が執られたものの、いずれも抜本的解決に至らず、昭和四十二年三月現在旧計理士登録者は、二、五八六名内特別試験で資格を得た者一、〇三〇名差引き一、五五六名の計理士を残したまま、昭和四十二年八月の「計理士の名称使用に関する法律」によって計理士業務を遂行している。「計理士の名称使用に関する法律」の制定によって、計理士の名称のみ復活したが、既得の業務である検査、証明、調査、鑑定の業務が削除され、営利法人、公益法人等を問わず、監査、証明業務の分野から締め出され、これに付随する日常の業務にも大きな不利益を被りつつ今日に至っている。現在では平均年齢も八十歳を超え一〇〇名足らずとなって、会計業務を通じて国家、社会に大きく貢献してきた計理士は、何ら報われぬままに自然消滅する危機にひんしている。このような取扱いは、我が国職業会計人の歴史に一大汚点を残すのみならず、人道の上からも許されるべきではないので、現在第一線で仕事をしている計理士のすべては知識、経験豊かであるから試験に代わる法定講習等をもって、公認会計士の資格付与の道を開くよう求める。(資料添付)

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