請願

 

第154回国会 請願の内閣処理経過

件名 ウイルス肝炎総合対策の充実に関する請願
新件番号 2762 所管省庁 厚生労働省 内閣処理経過受領年月日 H14.11.27
処理要領 一 慢性肝炎等の治療薬及び治療法の開発については、平成十三年三月に肝炎対策に関する有識者会議が取りまとめた報告書において、C型慢性肝炎の治療法の開発、肝硬変の治療法の開発、新しい肝がん治療法の開発等を進めていくべきであるとの指摘がなされた。
 これを受け、平成十四年度からは、厚生労働科学研究費補助金において肝炎等克服緊急対策研究事業として研究費補助金を大幅に増額し、慢性肝炎、肝硬変、肝がん等の治療法に関する研究の一層の推進を図っているところであり、今後とも、肝炎患者等がより適切な医療を受けられるようにするため、ウイルス性肝炎の有効な治療薬及び治療法の研究開発を推進してまいりたい。
 また、治療薬及び治療法の使用に係る規制の緩和については、平成十三年に、ウイルス血症の改善によりC型慢性肝炎を治療するための方策として、リバビリンとインターフェロンアルファ2bとの併用療法について、薬事法上の承認審査を優先的に行い、これを迅速に承認したところであり、今後とも、既存の治療薬と比較して明らかに有効かつ安全であると認められる治療薬及び治療法の承認申請がなされた場合には、優先的に審査を行ってまいりたい。
 また、承認を受けている効能等以外の効能等に係る医薬品の使用についても、関係学会からの当該効能等の承認に関して追加等の要望があり、その使用が医療上必要と認められる場合には、承認申請について検討を行うよう関係企業に働きかけるとともに、欧米諸国において承認され、相当の使用実績がある医薬品の承認審査については、臨床試験の全部又は一部を省略して行うことを認めており、今後とも、できる限り速やかに対応してまいりたい。
二 政府としては、老人保健事業における肝炎ウイルス検診の平成十四年度からの着実な実施に向けて、市町村に対し必要な援助を行うよう、本年四月に都道府県に通知するとともに、地域住民に分かりやすいパンフレット等を作成し配布したところである。今後とも、市町村が肝炎ウイルス検診を平成十四年度中に実施できるよう、機会をとらえて、助言に努めてまいりたい。
 職域における検診の勧奨については、政府管掌健康保険において、生活習慣病予防健診の中で実施している肝炎ウイルス検査について、事業主を通じて被保険者に周知するとともに、健康保険組合に対して、健康診査における肝炎ウイルス検査の実施に努めるよう指導を行っているところである。
 また、保健所における肝炎ウイルス検査については、ヒト免疫不全ウイルス又は性感染症の検査と併せて四十歳以上の者に実施する場合の検査費用について、国庫補助を行っているところである。
三 肝炎ウイルスの無症状病原体保有者(以下「キャリア」という。)については、これを早期に発見し、医師の適正な管理の下で、生活習慣を改善し、適時適切な治療を受けることにより、肝炎の進行や肝がんへの移行を回避することが可能である。
 このため、政府においては、平成十四年度から厚生労働科学研究費補助金において肝炎等克服緊急対策研究事業として、肝炎の標準的な治療法の開発等を促進するとともに、社団法人日本肝臓学会と連携した地域における肝臓専門医に関する情報提供の実施、国立病院長崎医療センターを中心とする診断・治療法の開発・研究の実施等、肝炎ウイルスのキャリアを含めた肝炎患者が医師の適切な治療、支援を受けられるようにするための取組を行っているところであり、今後とも、肝炎ウイルスのキャリアの健康管理と治療の体制について必要な方策を検討してまいりたい。
 また、保健所における相談体制を整備するため、C型肝炎についての問答集を作成し、保健所に配付するとともに、財団法人ウイルス肝炎研究財団が実施しているウイルス肝炎に関する相談事業に対して国庫補助を行っているところである。

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