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参議院のあらまし

継続審査

教育基本法案は、第164回国会に内閣から提出されましたが、会期末になっても議決されず、「継続審査」となり、第165回国会に成立しました。ここでは、この「継続審査」について説明します。

会期独立の原則・会期不継続の原則

憲法は、国会について、一定の期間だけ活動能力を有する会期制を前提としているものと解されています(憲法第52~54条)。すなわち、国会の活動は会期中に限られ(国会法第47条第1項)、各会期は独立して活動するのが原則となります。これを「会期独立の原則」といいます。会期と会期との間に意思の継続性は認められず、次の国会(以下「後会」という。)は前の国会(以下「前会」という。)の意思に拘束されません。そのため、会期中に議決されなかった案件は、後会に継続しないとされています(国会法第68条)。これを「会期不継続の原則」といいます。

継続審査とは

「会期不継続の原則」の例外として、委員会は、各議院の議決により特に付託された案件については閉会中も審査することができ(国会法第47条第2項)、閉会中審査した議案及び懲罰事犯の件(以下「議案等」という。)は後会に継続することとされています(国会法第68条ただし書)。このように、閉会中に審査することを継続審査※といいます。この継続審査の対象には、議案等に限らず国政調査事件も含まれますが、このうち、後会に継続するのは、議案等だけです(国会法第68条ただし書)。ただし、議案であっても、予算については、衆議院の先議権(憲法第60条)との関係から、参議院では継続審査に付することはできないと解されています。

継続審査の手続

閉会中も議案等の審査又は調査を継続しようとするときは、委員会が理由を付して文書で議長に要求しなければならないとされています(参議院規則第53条)。ただし、衆議院では、委員会からの要求がない場合においても、本会議の議決で議案等を閉会中審査に付することがあります。

閉会中に委員会の審査が終わったときは、委員長から審査報告書を議長に提出し(参議院規則第72条)、議長は後会で本会議に付します。また、審査を終わらなかったときでも、その旨の報告書を委員長から議長に提出することとされています(参議院規則第72条の3)。参議院では議案につき、閉会中に委員会審査を終えた例がありますが、衆議院にはその例がありません。

後会継続議案等の取扱い

議案等が後会に継続した場合、衆議院と参議院で、その取扱いは異なっています。すなわち、衆議院では、前会における一切の委員会の手続等は継続せず、継続するのはあくまで議案等のみであると解しているので、後会の始めに改めて議長が適当な委員会に付託します。

一方、参議院では、前会及び閉会中における一切の審査手続は当該案件とは不可分のものであり、これらが一体のものとして後会に継続すると解しているので、何らの手続きを経ずに委員会において引き続き審査することになります。

なお、継続審査は、衆議院議員の総選挙が行われる場合には、衆参両院ともに行わないのが例です。また、参議院議員の通常選挙が行われる場合には、参議院においては継続審査を行わないのが例です。これは、選挙によって、国会又はその院の構成が変わることを理由としています。通常選挙の場合は半数改選ですから、継続性はあると言えなくもありませんが、やはり、院の構成が変わると解釈されています。

 ※衆議院では「閉会中審査」、参議院では「継続審査」という呼称を使用している。