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参議院60周年記念論文入賞者



これからの日本を素晴らしく

神奈川県 横浜女学院中学校 3年
渡邊 有美

 私は、韓国人の母と日本人の父をもつ中学生です。幼い頃から毎年、韓国の同年代の従兄弟の家に行っています。彼らは、いつも私に親切にしてくれます。しかし、昨年私が訪れた時、同い年の従兄弟に、日本と韓国の関係についてどう思うか、と尋ねられました。丁度その日は、8月15日、終戦記念日(韓国では、独立記念日)だったのです。その日をきっかけに、私は日本の外交について興味を持ち始めたのです。
 日本に帰国してから数日後、私は、「小泉首相(当時)が靖国神社にて参拝をした」とのニュースを見ました。そのニュースでは、中国・韓国・北朝鮮が、我々国民の感情を傷つける、と批判していました。その数ヶ月前、中国・韓国などで日本の教科書に対するデモが行われている、とのニュースも耳にしていました。これらの他にも、日本は、批判される事が少なくありません。私は、日本の将来の外交が不安でなりませんでした。なぜ、日本は度々批判されるのでしょう。
 私は、互いの歴史認識が食い違っている事に問題があるのではないか、と思います。靖国参拝などでよく、中国・韓国・北朝鮮側の批判の中で耳にする、侵略戦争、はなかったという人々が日本国内にいます。中国・韓国・北朝鮮は、侵略戦争はあった、と言うのに対し、日本では、侵略戦争はなかったと言う人々がいます。なぜ、一つの事柄に対して二つの意見が生じるのでしょうか。真実は一つのはずです。
 同様の事が日本と同じような歴史がある、ドイツでは起きていません。では、ドイツはどのような事を行っているのでしょう。
 ドイツでは、日本同様、言論・出版はもちろん自由です。しかし、ナチスのユダヤ人大量虐殺や近隣諸国への侵略という歴史を持つドイツでは、過去への真剣な反省にたち、そうした行為の賛美や正当化には厳しい姿勢をとっています。ドイツの憲法第一条は「ドイツ国民は、侵すことのできない、かつ譲り渡すことのできない人権を世界のあらゆる人間社会、平和および正義の基礎として認める」と書いてあります。刑法には、この憲法の精神を受け、ナチス政権下での行為を公然と「是認、肯定、美化する」など、刊行物で排外的な宣伝をすることを処罰する、としてあります(130条など)。こうした考えは、憲法などの文章上のみならず、国民の中にも強く根づいています。ドイツの学校では、過去のナチス時代などについて、詳しく教えているといいます。また、学校での授業のみならず、強制収容所の跡地や市内各地の弾圧・迫害の史跡を生徒に見せることで、歴史への認識が深まるよう努めているそうです。しかしながら、やはり、ほかの国にもあったじゃないか、などと言う人や、歴史の事実への無知もあるそうです。このような事をなくすためには学校の場だけでなく、家庭あるいは政治など、社会全体で取り組むことが必要だ、と考え、行動しているそうです。
 同じような社会作りは日本でもできないでしょうか。しかし、ただのドイツの真似ではなく、日本独自の国作りを行うべきです。
 そこで、私が考えるこれからの日本の外交は、近隣の国々と行き違いがなく、お互いが心からのパートナーとなることです。
 そのために、私は、中国・韓国・北朝鮮・日本、それぞれの国の歴史専門家で集まり、対等な立場から一つの歴史的事実の資料を作る国際的な場を持つべきだと思います。しかし、この4カ国では加害者である日本側の資料が不足してしまうため、アメリカの歴史専門家も入れた5カ国で場を持つべきだとおもいます。加害者側と被害者側の意見を平等にいれた資料を作るべきです。こうしてできた資料を基に政府認定の歴史教科書を国内で一冊だけ作り、教育するべきだと思います。しかし、学校での教育のみならず、家庭での教育も怠らず、地域でも歴史を教える場を設けるべきです。このような環境で育った子供は将来、決して侵略戦争を肯定したり、存在そのものを否定したりすることはないでしょう。
 こうしてできた社会全体を見れば、中国・韓国・北朝鮮もきっと日本を否定しなくなり、心から信頼できる関係を築くことができるでしょう。すると、日本は各国との協調性ができ、素晴らしい国になることでしょう。
 私はこれを心から強く希望します。