請願

 

第213回国会 請願の要旨

新件番号 502 件名 福祉職員の最低賃金を千五百円以上にし、職員配置基準を引き上げることに関する請願
要旨  異常な物価高騰が続き生活不安が広がっている。日本の最低賃金は全国加重平均千四円で、最も高い東京都でも千百十三円、最も低い岩手県では八百九十三円という水準である。東京都の最低賃金で一日八時間・年二千時間働いても年収は約二百二十三万円にとどまり人間らしい生活を送るには不十分である。全国労働組合総連合による最低生計費調査でも、単身の若者が自立した生活を送るには地域を問わず月収二十五万円、時給換算で千五百円以上必要なことが明らかになっている。中小企業などへの公的支援を強めながら、全国一律の制度として最低賃金を千五百円にしていくことが求められている。保育や高齢者介護、障害福祉などの福祉職場の賃金水準は、政府の統計で正規雇用でも全産業平均よりも月七~八万円も低くなっている。エッセンシャルワーカーとして人と社会を支える一方で、自分の生活を十分に支えられない実態がある。政府が決めている保育の公定価格や介護報酬、障害福祉サービス等報酬などの公的価格が低過ぎるため人件費財源に限りがある。さらに、国が定めている配置基準の職員数だけでは安心・安全を守ることができないため、各事業所で一定の職員を増やして運営せざるを得ないことで賃金水準が抑制されている。現在、日本の最低賃金はオーストラリアの半分で韓国よりも低く先進国では最低のレベルである。全ての産業・業種・地域で賃上げを進めるために最低賃金を引き上げることが一刻も早く必要である。特に福祉分野は政府が公的価格を引き上げることで、事業所に人件費を保障し賃金水準を上げることができる。福祉職員の最低賃金を千五百円にできる人件費の保障と規制、常勤職員を増やすことができる配置基準の引上げが必要である。利用者も職員もその家族も個人として尊重され、誰も犠牲にならない権利が保障されるべきである。
 ついては、憲法第二十五条に基づいて国民の権利を保障し福祉増進の責任を果たすため、次の事項について実現を図られたい。

一、雇用形態や労働時間に関係なく、どの都道府県で働く福祉職員にも、最低賃金千五百円以上、フルタイムで年収三百万円以上を保障する制度をつくること。
二、利用者の安心・安全と、福祉職員の休憩・休暇・事務時間が保障できるように、職員配置基準を引き上げ、常勤職員を増やすこと。

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