請願

 

第212回国会 請願の要旨

新件番号 382 件名 所得税法第五十六条の廃止を求めることに関する請願
要旨  中小業者の営業は、家族全体の労働によって支えられている。しかし、日本の税制は、所得税法第五十六条「事業主の配偶者とその親族が事業に従事したとき、対価の支払は必要経費に算入しない」(条文趣旨)により、家族従業者の働き分(自家労賃)を必要経費として認めていない。家族従業者の働き分は事業主の所得となり、配偶者八十六万円、配偶者以外の家族五十万円が控除されるのみで、これは最低賃金にも満たない額である。このことにより、家族従業者は、社会保障や行政手続などの面で不利益を受けている。政府は「青色申告にすれば給料を経費にできる」(所得税法第五十七条)と言うが、これは税務署長への届出と記帳義務などの条件付きであり、申告の仕方で納税者を差別するものである。しかも、二〇一四年から全ての中小業者に記帳は義務化されており、所得税法第五十七条による差別は認められない。家族従業者の人権を認めない所得税法第五十六条の廃止を求める意見書は、全国五百六十以上の自治体で採択されている。こうした運動を反映し、第五次男女共同参画基本計画は、「女性が家族従業者として果たしている役割に鑑み」と明記し、「税制等の各種制度の在り方を検討する」としている。世界の主要国では家族従業者の働き分を必要経費と認めている。国連女性差別撤廃委員会は、二〇一六年、所得税法第五十六条が家族従業女性の経済的自立を妨げていることを懸念し、所得税法の見直しを日本政府に要請した。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、所得税法第五十六条を廃止すること。

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