請願

 

第211回国会 請願の要旨

新件番号 23 件名 教育の無償化を目指して全ての子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願
要旨  未来を担う子供たちに確かな学力を保障し、希望を育む豊かな教育を実現することは、国民の切実な願いである。新型コロナウイルス感染症の流行は、子供たちの学びや育ちにも大きな影を落としている。コロナ禍を生きる子供たち一人一人に向き合い学びを保障するためには、少人数学級の推進と教職員の増員が急務である。義務標準法改正により、三十五人学級が小学校から段階的に始まっている。感染症対策だけでなく、様々な課題を抱える子供たちの増加に柔軟に対応するためにも、小学校・中学校はもちろん、高校までの三十人学級の実現が強く望まれる。特別支援学校の過大・過密化解消や通級指導教室の設置など、障害児教育の更なる環境整備も必要である。また、就学支援金などは、学費滞納による退学率を減少させてきた。その一方、高校での一人一台タブレット端末の整備において、公私とも保護者負担としている県もある。軽減された学費を新たな保護者負担で上塗りするのではなく、小中学校と同様に情報端末は学校が整備するべきである。我が国の子供の貧困率は一三・五%(二〇一八年)に上り、約七人に一人が貧困状態である。さらに、コロナ禍や物価高騰が追い打ちを掛け、経済的に苦しい家庭がますます増えている。子供の学びを社会全体で支え、教育の機会均等を保障する教育費完全無償化が求められている。児童・生徒が生き生きと学び、豊かに成長できるよう、教育条件が大きく改善されることを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、教育予算を対GDP比でOECD諸国並みに増額し、教育費完全無償化に向けて保護者負担の軽減を進めること。奨学のための給付金を改善し、誰でも利用できる給付型奨学金を制度として確立すること。
二、公立高校授業料無償化を復活すること。また、高等学校等就学支援金制度を拡充し、年収五百九十万円未満世帯への支給額である「私立高校の平均授業料を勘案した水準」を前年度の私立高校授業料全国平均額にすること。さらに、私立高校生を含む多子世帯の所得制限を廃止すること。
三、標準法を改正し、国の責任で、小・中・高の全学年で三十人学級を早期に実現するとともに、複式学級を解消し、教職員を大幅に増員すること。また、教職員の未配置・未補充問題を抜本的に改善するための措置を講じること。
四、私学において「少人数学級の実施」、「専任教職員増」が可能となるよう、経常費助成補助を増額すること。
五、特別支援学校設置基準をより実効性のあるものとするとともに、既存校も含めた教育条件整備を早急に進めること。また、適切な学びの場を保障し、特別支援学級の定員を引き下げること。
六、義務教育費国庫負担制度を維持・拡充するとともに、教科書無償制度を堅持すること。
七、相次ぐ自然災害に耐えられるよう耐震化工事を含めた学校施設の補修・改築を進めるとともに、子供たちが安心して教育を受けられるようにすること。
八、全ての学校に「専任・専門・正規」の学校司書を配置する制度を確立すること。
九、大学・短大・専門学校の学費負担を軽減すること。

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