請願

 

第208回国会 請願の要旨

新件番号 1875 件名 交通運輸労働者の賃上げ政策に関する請願
要旨  ハイヤー・タクシー(以下「ハイタク」という。)産業で働く労働者を始め、鉄道、バス、トラックなど人流・物流を支える交通運輸労働者は、紛れもなく社会に不可欠なエッセンシャルワーカーであるが、社会への貢献度に見合った待遇を受けていない。ハイタク労働者においては、歩合給中心の賃金制度が主流となっているため、コロナ禍による人流抑制で賃金低下が生じ、自らの感染のおそれとあいまって職場を去る者が後を絶たない状況にある。最新の二〇二一年賃金構造基本統計調査では、タクシー運転者の推定年収は二百八十万四千円となり、コロナ前の二〇一九年と比べ約七十七万円低下し、全産業平均(男性)のほぼ二分の一まで落ち込んだ。この現状を放置すれば、早晩にもハイタク産業の担い手は枯渇し、特に地方部における住民の生活・移動に甚大な悪影響を及ぼす。また、賃金・労働条件の悪化と高齢化の傾向は、人流・物流を支えるエッセンシャルワーカー全般に見られるもので、一刻も早い改善が求められる。本来、賃金・労働条件は労使によって決定されるものだが、ハイタク事業者も大半が赤字経営であり、労使交渉における大幅な賃上げは産業構造的に厳しい状況と言わざるを得ず、最低賃金すら適正に支給されない(支給できない)職場も決して珍しくはない。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、政府は昨年十一月、公的価格評価検討委員会を立ち上げ、医療、介護、福祉、保育の分野で働くエッセンシャルワーカーの賃金引上げに向けた議論を始めているが、ハイタク労働者を始め公共交通や物流の分野で働くエッセンシャルワーカーに対しても、国の政策として、抜本的な賃上げに向けた検討を開始すること。また、諸外国で実際に行われているように、交通運輸労働者に対する国の直接支援制度の検討も併せて行うこと。

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