質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第六三号

新型コロナウイルス等感染症対策として接客業等において労働者がマスクを着用することを使用者が禁止することに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年二月二十八日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   新型コロナウイルス等感染症対策として接客業等において労働者がマスクを着用することを使用者が禁止することに関する質問主意書

 保険相談サービス「ほけんROOM」を運営するWizleapが行った「接客業とマスク着用に関する意識調査」によれば、「今まで働いた接客業において、マスクの着用が禁止されていたことはありますか?」という質問に対して、「禁止されていたことはある」(十五・七%)、「暗黙のルールで禁止だった」(十六・五%)と答える人が少なからずいた。新型コロナウイルス感染症流行後もこの傾向はある程度見られており、労働相談窓口には「マスク着用が禁止されている」という相談が寄せられていると二月二十五日の毎日新聞などで報じられている。
 一方、新型コロナウイルス感染症は、政府は今のところ労働安全衛生法六十八条に基づく病者の就業禁止の措置の対象とはしていない。病者の就業の機会をできるだけ失わせないようにするという法運用(例えば、「労働安全衛生規則の施行について」(昭和四十七年九月十八日付都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達。基発第六〇一号の一)の労働安全衛生規則六十一条関係の文言など)は理解できるが、そうすると時給で働く方等、休めば休むだけ給料が減る働き方をしている方々は、政府の新型コロナウイルスへの感染を疑われる人が帰国者・接触者相談センターに相談する目安である「体温が三十七・五度程度」であっても、三日は就業せざるを得ないし、その方の経済状況によっては、体温が三十七・五度以上の日が四日以上続いていても、新型コロナウイルス感染症り患の疑いを隠して就業を続けることが容易に想像できる。
 前記のような状況の中、病者である労働者等(労働契約法二条一項の労働者及び任命権者でない公務員をいう)が就業する際、咳エチケットとして自費でマスクを着用しようとしたところ、事業者等(労働契約法二条二項の使用者及び公務員の任命権者をいう)がマスク着用を禁止することは、他の従業員の飛沫感染の危険性を合理的理由なく上昇させることを意味するから、安全配慮義務(労働契約法五条に規定された安全配慮義務及び昭和五十年二月二十五日最高裁判所第三小法廷判決等で認められた公務員の任命権者が負う安全配慮義務をいう)に反すると考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。