質問主意書

第185回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五七号

法科大学院卒業生の処遇に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十一月十二日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   法科大学院卒業生の処遇に関する質問主意書

 法曹養成制度検討会議は、平成二十五年六月二十六日の取りまとめにおいて、「現時点においても司法試験の年間合格者数を三千人程度とすることを目指すべきとの数値目標を掲げることは、現実性を欠くものといわざるを得ない。」、「司法試験合格率が低く、入学者数が定員を大きく下回るなどの課題を抱える法科大学院もあり、(中略)定員削減や統廃合などの組織見直しを更に促進する必要がある。」等を内容とする提言をまとめた。取りまとめにおいては、法曹有資格者の活動領域の拡大や法科大学院の教育の質の向上等についても提言が行われている。
 現在、司法試験合格者の約九割は、法科大学院の卒業生である。法科大学院の学生は、学習を進める上で実質的に仕事との両立が困難なため、これまで社会人だった者は、仕事を辞め、収入の道を絶って学校に通うこととなり、二年から三年間は学業に集中することとなる。こうした覚悟と努力の末に法科大学院を卒業し、司法試験を受験することになるが、その合格率は二十数パーセントである。司法試験に合格すればよいが、試験に合格しない者は、学費や生活費のため大きな借金を抱えた上に、就職でも苦戦を強いられる場合がある。
 法科大学院を修了すれば「法務博士」の学位は得ることができるが、現在、この学位は、資格として職を得るために活用できるものではないため、就職において、法科大学院在学期間の学習を評価されない場合が多い。
 そこで、当初七割の合格率を実現するとしていた政府の指針を信じて、仕事を捨てて法科大学院に進学し、最終的に司法試験に合格できなかった法務博士取得者の活用を図るべきだと考える。法科大学院では、法学の基礎知識はもちろんのこと、多くの法曹実務家から指導を受けることで問題解決能力を養っているほか、論理的な思考や文章作成の技術を習得しており、法務博士取得者は即戦力として有望である。これを特に立法・行政の場で活用しないことは、国の施策として設立した法科大学院で育成した人材とそこに投入した財源のどちらの点から見ても、国民の納得を得られないと考える。
 これを踏まえて、以下質問する。

一 法曹養成制度検討会議の取りまとめに掲げられたそれぞれの提言の実現について、政府として、今後の大まかなスケジュールを示されたい。

二 司法試験に合格した者とともに、最終的に司法試験に合格できなかった多くの法務博士取得者をどのように活用するか検討する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

三 法科大学院で学んだ成果を社会に役立てることができるように、一例として、法務博士を国会議員の政策担当秘書の選考採用審査認定を受けることができる者の要件として加えることが考えられる。そのほかにも様々な資格試験の要件に組み込むといった制度の整備が必要だと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。