質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第八一号

内閣参質一七〇第八一号
  平成二十年十一月十一日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員紙智子君提出アイヌ民族の生活を守り権利を確立する施策の推進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出アイヌ民族の生活を守り権利を確立する施策の推進に関する質問に対する答弁書

一、三、四、六の2及び3、八並びに九について

 政府としては、先住民族の権利に関する国際連合宣言における関連条項を参照しつつ、これまでのアイヌ政策を更に推進し、総合的な施策の確立に取り組むことが重要であると認識しており、今後、アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会(以下「懇談会」という。)において、アイヌの人々のお話も具体的に伺いつつ、アイヌ政策についての提言を取りまとめていただき、これも踏まえ、アイヌ政策を更に推進し、総合的な施策の確立に取り組んでまいりたいと考えている。

二について

 本年十月十三日から十五日にかけて実施された懇談会の北海道視察においては、札幌市、白老町及び平取町で、アイヌの人々から、教育、研究、文化、生活等に関する様々な要望が出された。

五の1について

 お尋ねについては把握していない。

五の2について

 北海道における伝統的な儀式等のためのさけ等の採捕については、漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第六十五条第二項及び水産資源保護法(昭和二十六年法律第三百十三号)第四条第二項に基づき北海道知事が定める北海道内水面漁業調整規則(昭和三十九年北海道規則第百三十三号)第二十七条第一項の規定に基づく同知事の許可を受けて行うことができる。
 また、御指摘の「漁獲内容の公開と公平性の原則」が何を指すのか明らかではないが、当該許可に係る漁獲量等の公開については、同知事の判断によるべきものと考える。

六の1について

 お尋ねのアイヌの人々の文化伝承を目的とする国有林野への入林の承認の実績については、昨年度は二件であり、国有林野を除く国有地への入場の承認等の実績については、昨年度は零件である。
 また、お尋ねの伝統的織物の材料及び伝統家屋の複製の材料として使用されたかどうかは明らかではないが、アイヌ民芸品作製用の国有林野の原木の払下げの実績は、昨年度は二件である。

七の1について

 国土交通省北海道開発局(以下「北海道開発局」という。)が設置している河川名標識であってアイヌ語による河川名称の由来等が表記されているものは、平成十九年度末現在で二十一基である。当該標識については、石狩川について、旭川市、当麻町、比布町及び愛別町内に、空知川について、富良野市内に、オサラッペ川について、鷹栖町内に、忠別川について、旭川市、東神楽町及び東川町内に、美瑛川について、旭川市内に、牛朱別川について、旭川市内に設置している。
 また、北海道開発局が設置している河川の美化、愛護及び案内等を目的とした標識(以下「案内等標識」という。)であってアイヌ語による河川名称の由来等が表記されているものは、平成十九年度末現在で十六基である。当該標識については、天塩川について、士別市、名寄市、美深町、音威子府村、中川町、天塩町及び幌延町内に、名寄川について、名寄市内に、留萌川について、留萌市内に設置している。
 現時点で北海道開発局において把握している限りでは、北海道開発局が設置している河川名標識は、平成十九年度末現在で千三百七十二基であり、そのうちアイヌ語による河川名称の由来等が表記されているものの割合は約一・五パーセントである。また、案内等標識のうち、アイヌ語による河川名称の由来等が表記されているものの割合については、案内等標識の総数を把握していないため、お答えすることは困難である。

七の2について

 現時点で北海道開発局において把握している限りでは、平成十年に「アイヌ語地名を大切に!」市民ネットワークから「アイヌ語地名と日本語地名の併記を求める要望書」の提出を受けている。
 七の1についてでお答えしたとおり、北海道開発局においては、既に標識の一部において、アイヌ語による地名の由来等の表記を行っているところであるが、今後とも、標識の更新の際には、標識設置の目的等を勘案しつつ、地元自治体等の意見も踏まえ、アイヌ語による地名の由来等の表記を検討してまいりたい。