第71回国会(特別会)
答弁書第一五号 内閣参質七一第一五号 昭和四十八年八月十七日 内閣総理大臣 田中 角榮 参議院議長 河野 謙三 殿 参議院議員峯山昭範君提出中小企業の事業転換に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員峯山昭範君提出中小企業の事業転換に関する質問に対する答弁書 一、について 1 中小企業金融公庫並びに国民金融公庫の四十八年度事業転換貸し付けの融資枠並びに年次別、業種別貸付件数及び金額実績は、次の通りである。 (事業転換貸付枠) (事業転換貸付実績) 2 事業転換のうち国際経済上の調整措置の実施に伴う転換については、政策的見地から、近く、貸付金利を現行の七・〇%から六・五%(四年目以降七・〇%)に引き下げることとしている。 3 事業転換貸し付けについては、四十八年度から、貸付限度を中小公庫においては八〇〇〇万円から一二〇〇〇万円に、国民公庫においては一〇〇〇万円から一五〇〇万円にそれぞれ引き上げるとともに、貸付期間も七年(据置き一年)から十年(据置き二年)に延長することとした。 4 現在、中小企業近代化資金等助成法第十八条に基づき、中小企業構造改善事業計画を承認するに当たつては、組合が組合員に納付させる賦課金の額は、その組合員の売り上げのおおむね千分の十五(商業の場合は千分の五)までを限度とするという基準で運用しているが、当該計画に転換等促進事業を含む場合は、特に千分の二十五(商業の場合は千分の六)までを認める方針で運用している。 これまで事業転換を含む中小企業構造改善事業計画を実施した組合の実例をみると、実施主体となる組合が組合員に賦課している納付限度額は、いずれも右の運用基準にいう限度額を下回つており、このような現状からみて、今直ちにこの運用基準を改訂してこれを引き上げる必要はないのではないかと考えている。 二、について 1 中小企業振興事業団による事業転換に係る助成制度、融資枠及び実績は次の通りである。 表 2 本制度は、四十七年度より創設されたこともあつて、利用状況は少ないが、第二次ドル・シヨツクにより影響を受けた産地においてはグループによる事業転換の動きがあり、本措置の一層の活用を図るため融資条件について所要の改善措置を図ることとしたい。この場合、改善の内容は現在ドル・シヨツクとの関連で問題のある産地約四〇に対して実施している緊急診断の結果をも勘案して決定していくこととしている。 3 設備買上げについては、(1)対象業種の確定が難しく、財政負担が膨大になる恐れがあること、(2)対象業種については設備規制等の歯止め措置が必要となると考えられるが、その体制が整つているかどうか、(3)また、これらの業種につき前向きの施策により対処することが可能であるかどうか、など問題点も多い施策であるので、現在、慎重に検討を行つているところである。 なお、これに関連して、当面の措置としては、中小企業振興事業団による既存の設備共同廃棄事業に対する助成措置の改善を図ることとしている。 改善措置の具体的内容については、貸付主体の拡大、融資比率の拡大等が考えられるが、現在実施中の緊急診断の結果をも勘案して検討することとしている。 三、について 中小企業事業転換追跡調査については、現在その調査方法等の詳細を検討中であるが、基本的考え方としては、郵送による書面調査、面接調査等を実施するとともに専門家による調査結果の検討等を行うことにより、転換企業の経営の実態を時系列的に把握分析し、今後の転換の進め方の参考に資したい。 四、について 中小企業の事業転換に伴う離職者対策としては、 (1) 失業保険制度、職業転換給付金制度の活用 (2) 離職の早期把握による離職前の職業相談、求人開拓の実施など機動的な職業紹介と職業訓練の実施 (3) 中高年齢者等求職手帳の有効期間の延長 などの措置を講じ、その早期再就職を図つているところである。 離職者対策の基本はできるだけ早期にその再就職を促進することにあり、現行求職手帳の活用、職業転換給付金の支給により、その早期再就職に万全を期する考えである。 |