質問主意書

第221回国会(特別会)

答弁書

内閣参質二二一第八六号
  令和八年七月二十八日
内閣総理大臣 高市 早苗


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員ラサール石井君提出PFI手法による国立劇場の建て替えに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員ラサール石井君提出PFI手法による国立劇場の建て替えに関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「時期及び議論の内容」については、国立劇場再整備に関するプロジェクトチームが令和二年三月三十日に取りまとめた「国立劇場の再整備に係る整備計画策定に向けた基本方針」において、「既存施設の大規模改修工事では、可変機構や高水準のユニバーサルデザインの導入など・・・機能強化に対応するのは困難であり、伝統芸能の伝承と創造の中核的拠点としての機能をさらに強化するとともに、国内外の人々の交流を生み出す空間となるには、建替えが適切であるとの結論に達した。また、文化観光拠点といった新たな機能を十分に持たせるためには、独立行政法人日本芸術文化振興会・・・として計画・整備する要素に加え、「国立」の劇場であることを前提としつつ、観客サービスや賑わいの創出の観点から、民間事業者からの提案やノウハウに基づく要素を取り入れることが効果的であるとの認識で一致した。このため、国立劇場の再整備については、PFI手法による建替えを念頭に、今後関係者との調整を進めることとする。」としているとおりである。

 御指摘の「議事録」については、これを公にすることにより、事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、公開することは考えていない。

二について

 お尋ねについては、令和八年四月二日の参議院文教科学委員会において、松本文部科学大臣が「国立劇場が伝統芸能の継承、発展を担ってきた役割を引き続き果たしていくため、閉場中においても伝統芸能に関わる方々の活動が継続できるように十分配慮していくことが重要である、そのように考えております。・・・日本芸術文化振興会が主催をいたします公演につきましては、公演施設を有する自治体との協定締結などによって代替場所を確保をし、出演者やスタッフの方々が活躍できる場を確保するように努めております。・・・文部科学省といたしまして、日本芸術文化振興会と緊密に連携をいたしまして引き続き必要な対策を進めてまいりたい、そのように考えております。」と答弁しているとおりである。

三について

 お尋ねの「分野別」に、平成二十八年度から令和七年度までの各年度における①公演数及び②観客数をお示しすると、それぞれ次のとおりである。ただし、「歌舞伎」及び「文楽」にはそれぞれの「鑑賞教室」の公演数及び観客数を含めたものを示している。

 1 「歌舞伎」

 平成二十八年度 ①七公演 ②二十五万六千五百三十一人

 平成二十九年度 ①七公演 ②二十三万七千百二十五人

 平成三十年度 ①七公演 ②二十一万二千二百七十六人

 令和元年度 ①六公演 ②十八万千七百九十七人

 令和二年度 ①五公演 ②六万千六百二十八人

 令和三年度 ①六公演 ②九万二千二百七十二人

 令和四年度 ①六公演 ②十五万三百十三人

 令和五年度 ①五公演 ②十二万七千八百二十五人

 令和六年度 ①四公演 ②五万八千四百九十九人

 令和七年度 ①四公演 ②六万六百十四人

 2 「文楽」

 平成二十八年度 ①五公演 ②八万二千四百四十五人

 平成二十九年度 ①五公演 ②七万九千五百八十三人

 平成三十年度 ①五公演 ②七万四千八百三人

 令和元年度 ①五公演 ②七万六千四百四十人

 令和二年度 ①四公演 ②三万四千七百二十七人

 令和三年度 ①五公演 ②三万七千八百八十一人

 令和四年度 ①五公演 ②六万五千八十三人

 令和五年度 ①五公演 ②七万二千四百六人

 令和六年度 ①四公演 ②四万八千五百七十六人

 令和七年度 ①三公演 ②四万千六百十一人

 3 「舞踊・邦楽」

 平成二十八年度 ①六公演 ②八千六百二十三人

 平成二十九年度 ①九公演 ②六千六百七十二人

 平成三十年度 ①六公演 ②五千四十五人

 令和元年度 ①七公演 ②八千六百二十八人

 令和二年度 ①四公演 ②二千五百四十一人

 令和三年度 ①八公演 ②四千七百二十一人

 令和四年度 ①九公演 ②五千九百九十八人

 令和五年度 ①七公演 ②五千九百十九人

 令和六年度 ①四公演 ②千百九十九人

 令和七年度 ①五公演 ②三千三百九十六人

 4 「民俗芸能・琉球芸能他」

 平成二十八年度 ①二公演 ②二千七百三十二人

 平成二十九年度 ①二公演 ②二千百九十八人

 平成三十年度 ①三公演 ②三千二百七十一人

 令和元年度 ①二公演 ②千六百七人

 令和二年度 ①零公演 ②零人

 令和三年度 ①零公演 ②零人

 令和四年度 ①三公演 ②千九百七十四人

 令和五年度 ①二公演 ②千三百五十五人

 令和六年度 ①零公演 ②零人

 令和七年度 ①零公演 ②零人

 5 「雅楽・声明他」

 平成二十八年度 ①四公演 ②五千六百四十二人

 平成二十九年度 ①三公演 ②三千七十九人

 平成三十年度 ①二公演 ②千九百三十四人

 令和元年度 ①三公演 ②三千六十八人

 令和二年度 ①一公演 ②六百九人

 令和三年度 ①二公演 ②千三百五十一人

 令和四年度 ①三公演 ②二千八百六十三人

 令和五年度 ①三公演 ②五千八百七人

 令和六年度 ①一公演 ②千百十二人

 令和七年度 ①一公演 ②九百六十六人

 また、お尋ねの「鑑賞教室」については、「歌舞伎」及び「文楽」において行われているが、平成二十八年度から令和七年度までの各年度における①公演数及び②観客数をお示しすると、それぞれ次のとおりである。

 1 「歌舞伎」の「鑑賞教室」

 平成二十八年度 ①二公演 ②十一万七千五百十四人

 平成二十九年度 ①二公演 ②十二万四千百八十六人

 平成三十年度 ①二公演 ②十二万二千三百七十八人

 令和元年度 ①二公演 ②十万四千二百四十三人

 令和二年度 ①零公演 ②零人

 令和三年度 ①二公演 ②五万九百六十三人

 令和四年度 ①二公演 ②七万九千二十人

 令和五年度 ①二公演 ②八万八千五百十人

 令和六年度 ①二公演 ②四万二千百五十八人

 令和七年度 ①二公演 ②三万七千六百三人

 2 「文楽」の「鑑賞教室」

 平成二十八年度 ①一公演 ②一万三千百二十五人

 平成二十九年度 ①一公演 ②一万三千百八十四人

 平成三十年度 ①一公演 ②一万三千百十一人

 令和元年度 ①一公演 ②一万三千五百十七人

 令和二年度 ①一公演 ②五千六百十一人

 令和三年度 ①一公演 ②八千百三十九人

 令和四年度 ①一公演 ②九千六百八十五人

 令和五年度 ①一公演 ②八千三百六十一人

 令和六年度 ①一公演 ②一万二千百六十五人

 令和七年度 ①一公演 ②一万三千七百五十九人

四について

 御指摘の「代替劇場」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、国立劇場が「閉場」されている期間中に独立行政法人日本芸術文化振興会(以下「日本芸術文化振興会」という。)が主催して国立劇場以外の劇場で行われている公演(以下「代替劇場公演」という。)について、お尋ねの「分野別」に、令和五年度から令和七年度までの各年度における①公演数及び②観客数をお示しすると、それぞれ次のとおりである。ただし、三で御指摘の「歌舞伎」及び「文楽」にはそれぞれ「鑑賞教室」の公演数及び観客数を含めたものを示しており、「民俗芸能・琉球芸能他」においては代替劇場公演が実施されていない。

 1 「歌舞伎」

 令和五年度 ①一公演 ②一万二百十四人

 令和六年度 ①四公演 ②五万八千四百九十九人

 令和七年度 ①四公演 ②六万六百十四人

 2 「文楽」

 令和五年度 ①三公演 ②二万二千三百二人

 令和六年度 ①四公演 ②四万八千五百七十六人

 令和七年度 ①三公演 ②四万千六百十一人

 3 「舞踊・邦楽」

 令和五年度 ①二公演 ②千百五人

 令和六年度 ①四公演 ②千百九十九人

 令和七年度 ①五公演 ②三千三百九十六人

 4 「雅楽・声明他」

 令和五年度 ①零公演 ②零人

 令和六年度 ①一公演 ②千百十二人

 令和七年度 ①一公演 ②九百六十六人

 また、代替劇場公演についてはその立地や鑑賞する際の環境に関して不便を感じている等の意見が寄せられている。

五及び七について

 御指摘の「伝統芸能関係者の収入の変動」については、様々な要素の影響を受けるものであり、「国立劇場閉場」による「伝統芸能関係者の収入」への影響のみを把握することは困難であるため、お尋ねの「調査」は行っていないが、二についてでお答えしたとおり、文部科学省としては、日本芸術文化振興会と連携し、国立劇場が「閉場」している期間における日本芸術文化振興会が主催する公演の会場の確保に努めているほか、文化芸術団体が公演を行う機会の充実等を通じて、御指摘の「スタッフ」を含めた「伝統芸能関係者」の活躍の場を確保できるように支援等を行っているところである。

六について

 お尋ねについて、御指摘の「国立劇場の閉場」に伴い、日本芸術文化振興会が設置した「相談窓口」には、実演家に係る団体、三で御指摘の「舞踊・邦楽」に係る芸術家等から、舞台芸術に係る技術職員の派遣や公演の実施が可能な劇場の紹介等に関する相談が寄せられているところであり、これらの相談内容を踏まえて、適切に対応しているところと承知している。

八について

 お尋ねについては、「国立劇場の再整備に係る整備計画」(令和二年七月十四日国立劇場再整備に関するプロジェクトチーム策定、令和七年九月二十四日一部改定)において示された、「新たな観客層に足を運んでもらうとともに、伝統芸能の魅力を国内外に発信するための機能を整備し、皇居周辺見学における学校団体の需要やインバウンド層の観光需要を取り込むなど、文化観光拠点としての機能強化を図る」という基本的な考え方を踏まえ、「伝統芸能と食文化などを組み合わせて体験できるようなイベントスペースの新設を行う」ことや「観劇を目的としない人々も利用できるレストラン・ショップ等をグランドロビーに接して配置し、レストラン、ショップ等の魅力向上等を図る」ことを目的として、日本芸術文化振興会において御指摘の「舞台付きレストラン(仮称)」を設けることを判断したものであると承知している。

九について

 国立劇場に係るお尋ねの「コンクリート躯体の劣化診断の結果」は、建物の内外にひび割れ及び内部に部分的な漏水の痕跡が見られ、また、経年変化によるコンクリートのアルカリ性の低下により、部分的に鉄筋にさびが生ずるおそれがあり、「コンクリート躯体の劣化」が進行している。

 国立演芸場に係るお尋ねの「コンクリート躯体の劣化診断の結果」は、建物の内外にひび割れが見られ、また、経年変化によるコンクリートのアルカリ性の低下により、部分的に鉄筋にさびが生ずるおそれがあり、「コンクリート躯体の劣化」が進行している。

 国立劇場伝統芸能情報館については、「コンクリート躯体の劣化診断」は実施していない。

 今般これらを建て替えとすることとしたのは、御指摘の「老朽化」及び一についてでお答えした理由も踏まえて総合的に判断したものであり、「建築文化の軽視」との御指摘は当たらないと考えている。

十について

 御指摘の「廻り舞台」や「迫り」の現状については、日本芸術文化振興会が、国立劇場の施工業者であり定期的な保守点検や改修を実施してきた三精テクノロジーズ株式会社及び森平舞台機構株式会社に対し、令和元年七月にヒアリングを行ったと承知しており、御指摘のとおり「複数の事業者の意見を聞いた上で、建て替えが必要と判断し」ている。

十一について

 御指摘の「多量のCO2」の意味するところが具体的に明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、日本芸術文化振興会が作成した「国立劇場再整備等事業業務要求水準書」においては、「公共施設として今日的な課題に先導的に取り組む必要性から、SDGs(持続可能な開発目標)、工事を含むカーボンニュートラル等、施設整備、維持管理から廃棄に至るまでのライフサイクルを通じて、省エネルギー・省資源、長寿命化、建設副産物の抑制、エコマテリアルの使用等を積極的に取り入れるなど総合的な対策を講じた環境に配慮した施設整備を行う」こととしていると承知している。

十二について

 お尋ねについては、令和七年三月十三日の参議院文教科学委員会において、赤松文部科学大臣政務官(当時)が「国立劇場ですけれども、昭和四十一年の開場から六十年が経過しまして、観客席のつり天井、これが耐震性が不足して、これ落ちてきたら大変なことになります。あと、舞台機構のせりが何と公演中に停止しちゃったと、みたいなことありまして、危険であると。こういった施設の老朽化が限界を迎えているために、やむを得ず令和五年十月に閉場したところでございます。」と答弁しているとおりである。

十三及び十四について

 お尋ねの「二〇二二年の第一回入札に対する計三回の質問」を行った「事業者数」は三十二者、「二〇二三年の第二回入札に対する計二回の質問」を行った「事業者数」は六者である。

 「二〇二六年の第三回入札」は現在、入札手続を進めている最中であり、お尋ねの「質問を行った事業者数」及び「申込みがあった事業者数」は、参加を検討している企業に競争の状況を推知させ、企業の行動に影響を与える情報となり得るため、公正な競争の確保の観点から、お答えすることは差し控えたい。