第221回国会(特別会)
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質問第一一二号 皇室典範の改正による皇位継承及び養子制度の憲法問題等に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和八年七月二十四日 小西 洋之
参議院議長 関口 昌一 殿 皇室典範の改正による皇位継承及び養子制度の憲法問題等に関する質問主意書 一 政府は、皇位継承資格の在り方は象徴天皇制の根幹に関わる事項であると考えているか、政府の見解を示されたい。 二 政府は、養子皇族男子の子孫が皇位継承資格を有するべきか否かについては、憲法第一条が定める「日本国民の総意に基く」べき事項であると考えているか否かについて政府の見解を示すとともに、なぜそのように考えるのかについて具体的に説明されたい。 三 この度の皇室典範の改正によって、養子皇族男子の子孫が皇位継承資格を有することになっていることについて、政府は、「衆参正副議長による議論のとりまとめにおいては養子の子に係る記載がないことから、現行皇室典範の規定に基づいて判断することとなり、現行の皇室典範第一条及び第二条が適用され、皇位継承資格を有することになる」との旨を答弁しているが、皇位継承の在り方は天皇制の根幹に関わる事項であり、かつ、憲法第一条の日本国民の総意に基づくべき事項であることを考えると、①皇族の養子に係る制度は、政府の「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議(以下「有識者会議」という。)の報告書(令和三年十二月二十二日)において、皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図ることが喫緊の課題であるとの認識で、皇族数の確保のための方策の一つとして提起されていたものであり、かつ、②皇位継承の問題と切り離すという文脈において衆参正副議長のもとの全体会議で議論が行われてきたこと及びそれが故に衆参正副議長による議論のとりまとめにおいては「皇族数確保の具体的方策」としてのみ位置付けられ養子皇族男子の子孫の皇位継承資格の在り方についての記載はなされていなかったことを真摯に踏まえたならば、政府において、養子皇族男子の子孫について皇室典範第二条が適用されることがないようにするなど適用除外の規定を措置するべきであり、かつそうすることが可能であったと考えるが、当該適用除外の規定を措置しなかった理由について具体的に説明されたい。 四 皇室典範第三十八条第四項で養子皇族男子に第二条の適用除外の規定を設けているところ、これと同様の規定を措置することによって、養子皇族男子の子孫が皇位継承資格を有しないようにすることが可能であったと考えるが、こうした養子皇族男子の子孫に皇位継承資格を認めない規定を設けなかった理由について、具体的に説明されたい。 五 皇族の養子に係る制度は、政府の有識者会議報告書において、皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図ることが喫緊の課題であるとの認識で、皇族数の確保のための方策の一つとして提起されていたものであり、かつ、皇位継承の問題と切り離すという文脈において衆参正副議長のもとの全体会議で議論が行われてきたこと及びそれが故に衆参正副議長による議論のとりまとめにおいては「皇族数確保の具体的方策」としてのみ位置付けられ養子皇族男子の子孫の皇位継承資格の在り方についての記載はなされていなかったことからすれば、この度の政府提出の皇室典範の改正案において「衆参正副議長による議論のとりまとめにおいては、養子の子に係る記載がないことから、現行皇室典範の規定に基づいて判断することとなり、現行の皇室典範第一条及び第二条が適用され、皇位継承資格を有することになる」という考えに基づいて養子皇族男子の子孫が皇位継承資格を持つことを認めたのは、とりまとめの趣旨に反し、かつ、憲法第一条が定める「日本国民の総意に基く」ものとはならないのではないか、政府の見解を示されたい。 六 皇族数の確保が目的であれば養子皇族男子の子孫が皇位継承資格を有する必要はないところ、この度の政府の皇室典範の改正案において養子皇族男子の子孫が皇位継承資格を有する制度としたのは、いわゆる女系による皇位継承や女性天皇を排除して男系男子のみによる天皇制を維持しようとする目的があったからではないか、政府の見解を示されたい。 七 一般論として、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と定める日本国憲法第十四条第一項は、法律によって特定の門地に属する国民のみに特定の地位や権能を与えることを禁止していると解しているかについて、政府の見解を示されたい。 また、仮に、日本国憲法において、法律によって特定の門地に属する国民のみに特定の地位や権能を与えることが許されることがあると考える場合は、どのような場合がそれに該当すると考えるか、政府の見解を示されたい。 八 皇族の養子に係る制度に関し、「皇統に属する方のうち、いずれの方を養子の対象者として皇族となることができるとするかにつきましては、憲法第一章の規定やこれまで養子を禁じてきた趣旨などを踏まえまして、適切に定めることが法律である皇室典範に委任されている事項であると考える」という参議院皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会における内閣法制局長官の答弁について、具体的に憲法のどの条文により皇室典範に委任されているのか政府の見解を示されたい。 また、仮に、政府において、当該委任の憲法上の根拠を憲法第二条とする場合は、第二条は「皇位は(略)国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」と定めるところ、皇位継承ではなく「皇族数確保」を目的とした皇室典範による制度を設けることについて、憲法第二条を根拠とすることは憲法第二条の趣旨の逸脱行為であり、したがって、一般国民の中で旧十一宮家の出自の者のみが養子になることができる制度は、憲法第十四条第一項が禁止する門地による差別に該当する憲法違反ではないのか、政府の見解を示されたい。 九 政府は、「皇統に属する方を、このような皇室制度を担っていただくために新たに皇族となることができるとすることは、直ちに憲法が禁止しているものとは解されない」としているが、皇位継承ではなく「皇族数確保」を目的とした養子制度を設けるに当たり、一般国民の中で旧十一宮家の出自の男系男子のみを養子の資格者とすることは、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と定める憲法第十四条第一項において、性別と門地による差別になるのではないのか、また、憲法違反の問題は生じないのか、政府の見解を示されたい。 十 皇室典範等の一部を改正する法律附則第六条第一項の「それぞれの法律」が意味する法律が何であるかについて説明されたい。また、同条の「それぞれの法律の規定」には、皇室典範第一条、第二条及び第三十八条第六項は含まれるのかをそれぞれに示した上で、仮に、これらの条項が含まれないのであれば、養子皇族男子の子孫が皇位継承資格を有することについては皇室典範等の一部を改正する法律附則第六条が定める「検討」(同条第一項及び第二項)及び「措置」(同条第一項)並びに「見直し」(同条第二項)の対象外であるのかについて説明されたい。 右質問する。 |