質問主意書

第221回国会(特別会)

質問主意書

質問第一〇八号

令和八年四月一日に陸上自衛隊玖珠駐屯地内において実施された安全祈願祭と信教の自由及び政教分離の原則に関する最高裁判例に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和八年七月二十四日

福島 みずほ


       参議院議長 関口 昌一 殿



   令和八年四月一日に陸上自衛隊玖珠駐屯地内において実施された安全祈願祭と信教の自由及び政教分離の原則に関する最高裁判例に関する質問主意書

 令和八年四月一日、陸上自衛隊玖珠駐屯地内の安全の碑の前において、部外団体である玖珠駐屯地後援会の主催による安全祈願祭(以下「安全祈願祭」という。)が実施され、駐屯地司令を始めとする玖珠駐屯地の隊員が参加・協力した。

 安全祈願祭には、信教の自由及び政教分離の原則に関わる日本国憲法上の重要な問題があると考える。

 最高裁判所昭和五十二年七月十三日大法廷判決は、いわゆる地鎮祭について、「現実の一般的な慣行としては、建築着工にあたり建築主の主催又は臨席のもとに本件のような儀式をとり入れた起工式を行うことは、特に工事の無事安全等を願う工事関係者にとつては、欠くことのできない行事とされているのであり、このことと前記のような一般人の意識に徴すれば、建築主が一般の慣習に従い起工式を行うのは、工事の円滑な進行をはかるため工事関係者の要請に応じ建築着工に際しての慣習化した社会的儀礼を行うという極めて世俗的な目的によるものであると考えられるのであつて、特段の事情のない本件起工式についても、主催者の津市の市長以下の関係者が右のような一般の建築主の目的と異なるものをもつていたとは認められない。」と判示した。

 同判決において藤林益三裁判官(当時)は、「工事の無事安全に関する配慮が必要なだけならば、現在の進歩した建築技術のもとで、十分な管理がなされる限り、科学的にはこれにつけ加えるべきものはない。しかるに、工事の無事安全等に関し人力以上のものを希求するから、そこに人為以外の何ものかにたよることになるのである。これを宗教的なものといわないで、何を宗教的というべきであろうか。本件起工式の主催者津市長がたとえ宗教を信じない人であるとしても、本件起工式が人力以上のものを希求する工事関係者にとつて必須のものとして行われる以上、本件儀式が宗教的行事たることを失うものではない。」との追加反対意見を示した。

 また、最高裁判所昭和五十年二月二十五日第三小法廷判決は、いわゆる陸上自衛隊事件において、「安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入つた当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきもの」と判示した。自衛隊の隊務を統括し、自衛隊の部隊等に対する指揮監督権を有する防衛大臣も、このような一般的な安全配慮義務を負うものである。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 安全祈願祭は、国家公務員である隊員にとって「欠くことのできない行事」か、政府の見解を示されたい。また、安全祈願祭への隊員の参加が適切であると判断した理由を具体的に示されたい。

二 私の資料請求に対して防衛省が令和八年七月十六日に提出した資料のうち「業務連絡」の「件名」には「令和八年度玖珠駐屯地安全祈願祭について(連絡)」と記載されている。また、安全祈願祭の「目的」は、「玖珠駐屯地後援会「なぐさ会」主催による安全祈願祭に参加して、訓練等の事故防止機運を醸成するとともに、年度間の安全を祈願する。」と記載されている。この「訓練等の事故防止機運を醸成するとともに、年度間の安全を祈願する」という安全祈願祭の目的については、安全配慮義務を負っている防衛大臣が訓示等により隊員がその生命、身体等の安全を確保しつつ業務に従事することができるよう必要な配慮をするなど、他の手段によっても達成することができると思料するが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。