第221回国会(特別会)
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質問第九三号 関東大震災時の朝鮮人虐殺事件に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和八年七月十六日 吉良 よし子
参議院議長 関口 昌一 殿 関東大震災時の朝鮮人虐殺事件に関する質問主意書 関東大震災時の朝鮮人虐殺事件(以下「本事件」という。)については、震災後百年が経過する前後から国会において質疑等が行われてきた。これに対し、政府は、関連資料を確認できないとして、本事件についての事実認定を拒否している。 しかし、本事件については、戦前、戦後にも繰り返し質疑が行われていた。質疑者自身の目撃に基づく具体的な発言や、本事件が実際に起こったことを示唆する政府答弁もあった。 例えば、須藤五郎参議院議員(当時)は、一九五二年六月四日の参議院法務委員会において、自身の体験を述べ、本事件を目撃したと発言している。また、一九六四年三月十七日の参議院予算委員会における同議員の質疑に対し、大平正芳外務大臣(当時)は、「数々の過去のあやまちにつきましては、須藤さんと同じように、私もよく承知しております。」と答弁している(以下「大平答弁」という。)。さらに、同年三月三十日の参議院予算委員会における同議員の質疑に対し、池田勇人内閣総理大臣(当時)は、「関東大震災のとき、いろいろいきさつのあったことは知っておりますが、当時、それを犯罪としては国内では取り扱わなかったと思います。」と答弁した。その上で、本事件を「日本人全体の犯罪」、「日本民族の犯罪」、「国全体として」ではないと断りつつ、「個々の事実で犯罪行為に該当したものは、個々の人に対する処置としてとった」、「個々の人についての犯罪は、それはあったでございましょう。」と答弁し、本事件が起こったことを認定している(以下「池田答弁」という。)。 本事件を目撃したという質疑者の眼前で、本事件を完全に否定できなかったことから、これらの答弁に至ったものと推察される。そもそも、大平答弁の「私もよく承知しております。」、池田答弁の「関東大震災のとき、いろいろいきさつのあったことは知っております」という答弁から分かるように、いずれの大臣も本事件を自明のこととして認識していたのである。 関東大震災から百年以上が経過し、本事件の目撃者や難を逃れた体験者から証言を聞くことが不可能になったため、本事件をなかったこととし、事実から目を背けることが容易になっている。しかし、それは過去に誠実に向き合う態度とは言えない。排外的な言動が問題となっている現在においては、本事件に学び、再発を未然に防ぐことが一層求められている。 以上の認識に基づいて、以下質問する。 一 政府は、前記の須藤参議院議員の質疑、大平答弁、池田答弁を認識しているか示されたい。 二 政府は、前記の須藤参議院議員の体験・目撃に基づく発言を否定する資料を持っているか示されたい。 三 大平答弁は、本事件を念頭に「あやまち」と述べていると読めるが、政府も同じ認識か示されたい。 四 池田答弁は、本事件が「犯罪」として起こったという認識を示したものと読めるが、政府も同じ認識か示されたい。 五 大平答弁及び池田答弁は、本事件が実際に起こったことを前提になされていると理解できるが、政府も同じ認識か示されたい。 六 国会における質疑等で言及されているように、公文書に記載された朝鮮人を「犯罪者」に仕立て上げる流言、朝鮮人虐殺や傷害の記録は各地域に存在する。これらの事件については判決書など裁判記録もあり、事件を報じた新聞記事、政府関係者や民間人による記録や証言も膨大である。膨大な記録等が存在することから、本事件が起こったことはもはや否定できず、事件の規模や重大性に鑑み、法治国家としてこれを放置することは許されない。政府は自らの責任において調査し、認定すべきことは認定するのが筋である。改めて本事件を調査すべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |