質問主意書

第221回国会(特別会)

質問主意書

質問第八一号

六ヶ所再処理工場のアクティブ試験等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和八年七月十六日

ラサール石井


       参議院議長 関口 昌一 殿



   六ヶ所再処理工場のアクティブ試験等に関する質問主意書

 日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)は二〇二二年八月二十三日、「六ヶ所再処理工場の概要」を公表した。同資料では、六ヶ所再処理工場(以下「再処理工場」という。)の竣工までに、「中断していたアクティブ試験の再開」、「ガラス固化設備の使用前検査」等の六項目を実施するとされた。しかし、日本原燃は二〇二五年十二月、失敗が続く高レベル廃液のガラス固化について、使用前事業者検査の対象とせず、竣工後に先送りするという方針に転換した。ガラス固化検査を含むアクティブ試験は、再処理工場が計画どおり運転できるか見極めるための最も重要な総合試験と考える。ガラス固化検査を行わないまま竣工を急ぐことは、安全面から望ましくないと考える。

 再処理工場に貯蔵されている高レベル廃液は、二〇二五年三月現在で二百二十七立方メートルとされている。再処理工場の電源喪失等により当該廃液が冷却不能になった場合、化学爆発及びセシウム137等の放射性物質の拡散が危惧される。脱原発政策実現全国ネットワークが、放射性物質については均等に円状に降下すると仮定し、セシウム137による汚染の範囲についてはチェルノブイリ原発事故時を基準として想定したところ、居住禁止区域は半径二百九十一キロメートルとの結果が得られた。また、移住必要区域は半径四百七十五キロメートルとなり、この場合、北海道から福島県までが同区域に入ることとなる。

 再処理工場の操業に当たっては極めて高度な安全性の確保が求められると考える立場から、以下質問する。

一 ガラス固化検査を含むアクティブ試験は、再処理工場が正常に機能するか、日本原燃が再処理工場を計画どおり安全に運転できるかを見極めるための最も重要な総合試験と考えるが、政府の見解を示されたい。

二 日本原燃は二〇一一年十月十三日、「再処理施設アクティブ試験計画書(使用済燃料による総合試験)」を公表した。同計画書では、アクティブ試験の終了条件として、「ガラス溶融炉等の処理能力検査(高レベル廃液ガラス固化設備及び低レベル固体廃棄物処理設備の処理能力)」、「製品中の原子核分裂生成物の含有率測定検査」、「製品の回収率測定検査」を含む使用前検査が全て終了していること、「アクティブ試験結果を評価することにより、しゅん工にあたって反映すべき安全対策等の有無について確認し、必要に応じ保安規定の変更、認可を得ていること」等が挙げられている。当初の計画に反し、日本原燃がガラス固化検査を先送りすることは不適切と考えるが、政府の見解を示されたい。

三 使用済燃料の再処理の事業に関する規則(昭和四十六年総理府令第十号)第六条の二(性能の技術上の基準)が二〇一三年に削除されたことを理由に、日本原燃の社長は「ガラス溶融炉の処理能力に関する要求はなくなったというのが法令上の整理」と主張し、ガラス固化検査を先送りする方針に転換した。同規則の削除を決定した主体及び削除した理由を示されたい。また、有識者会議等の意見を受けて削除を判断したか示されたい。さらに、削除された同条第二号、第六号、第七号が規定していた再処理の処理能力や製品の性質等の担保については、現行規則のどの条項に該当するか示されたい。

四 日本原燃は二〇一三年七月二十六日、「再処理施設アクティブ試験におけるガラス固化試験結果等に係る報告書」を原子力規制委員会に提出した。しかし、その後、二〇一三年十二月に新規制基準が施行されたことを理由にアクティブ試験を停止し、残っている同試験については追加工事等の終了後、試験結果を取りまとめた報告書を作成することとした。

 原子力規制委員会は、二〇一三年に提出された同報告書の審査を行ったのか示されたい。行っていない場合、その理由を示されたい。また、アクティブ試験の第五ステップで行われるはずだったBWR(沸騰水型軽水炉)燃料を用いた試験は行われていない。同試験は再処理工場の竣工前に行われるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

五 日本原燃は、使用前事業者検査では実廃液ではなく模擬廃液を用いるとしている。日本原燃は二〇二六年四月二十七日、第五百八十回核燃料施設等の新規制基準適合性に係る審査会合に「設工認申請の対応状況について」を提出した。同資料の「ガラス溶融炉に関する漏えい確認について」という部分には、模擬廃液と実廃液の比較表が掲載されているが、実廃液の成分にウランや超ウラン元素は記載されていない。また、同表の実廃液の粘性・接触角・比抵抗の数値について、「実廃液の白金族成分等を模擬した高模擬廃液の溶融ガラスの値を記載。」との注釈が付されており、高模擬廃液の値を実廃液のように記載している。ウランや超ウラン元素の同位体は全て放射性核種であり、安定同位体はなく、非放射性元素を用いてウランやプルトニウム含有実廃液に似せた模擬廃液を調製することは不可能と考える。使用前事業者検査で模擬廃液を用いることの是非について、政府の見解を示されたい。

六 再処理工場に現在保管されている高レベル実廃液、使用前事業者検査で使用する予定の非放射性の高模擬廃液及び模擬廃液について、含有する元素名と含有率をそれぞれ示されたい。また、実廃液に関し、ガラス固化対象である高レベル廃液、アルカリ濃縮廃液及び不溶解残渣廃液について、含有する元素名と含有率をそれぞれ示されたい。

七 事故発生時に想定される被害の甚大さを考慮すれば、アクティブ試験を当初の計画どおり終了させ、その結果を取りまとめた報告書を作成し、原子力規制委員会による厳密な総合評価・審査を受けるべきである。これらを公開し、外部の専門家・市民等の意見を募集した上で、再処理工場の操業の可否を慎重に判断すべきである。

 ガラス固化検査を含むアクティブ試験を先送りすることは、日本原燃が再処理工場を運転する能力を有するか十分確認しないまま操業を許可することにつながり、容認できない。アクティブ試験を含めた慎重な審査を行うことが再処理工場の重大事故を防ぎ、我が国の人々を守ることにつながると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。