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参議院本会議決議本文

第145回国会

平成11年8月9日 
参議院本会議 

子ども読書年に関する決議

 国際連合は一九九〇年九月、子どものための世界サミットを開き、ここに参加した世界七十一か国の元首、首脳たちが「子どもを政治の最優先に」と誓い合ってから十年が経過した。
 しかし、広く地球的観点からこれを見れば、貧しさゆえに子どもの人権がないがしろにされ、また、子どもたちが最大の犠牲者となる民族間や宗教上の対立による地域紛争が絶え間なく続いているのも現実の姿と言わねばならない。「子どものための世界サミット」における国連の誓いを結実させるためには、国際間のさらなる努力が必要である。
 先進国でもモノの豊かさに心の成長が追い付かず、わが国においても校内暴力、いじめ、衝動的行動、薬物汚染など子どもたちの悲惨な事件が相次いでいる。こうした、子どもたちの乾いた心に、潤いを取り戻すことは、今日差し迫った課題である。
 われわれは、二十世紀の反省と教訓の上に立って、新しい世紀を担う地球上のすべての子どもたちに、人権を尊重し、恒久平和の実現と繁栄に努め、伝統的な文化遺産を継承することを託さなければならない。
 その第一歩として、わが国は世界にさきがけ、平成十二年、西暦二〇〇〇年の「こどもの日」の五月五日、質も量も世界で最大規模の蔵書と読書環境を整え、内外情報の収集と発信のできる国際子ども図書館を開館することになっている。
 読書は、子どもたちの言葉、感性、情緒、表現力、創造力を啓発するとともに、人としてよりよく生きる力を育み、人生をより味わい深い豊かなものとしていくために欠くことのできないものである。
 本院は、この読書の持つ計り知れない価値を認識して、子どもたちの読書活動を国を挙げて応援するため、平成十二年、西暦二〇〇〇年を「子ども読書年」とすることとする。
 右決議する。