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参議院本会議決議本文

第143回(臨時)国会

平成10年10月16日 
参議院本会議 

防衛庁長官額賀福志郎君問責決議

 本院は、防衛庁長官額賀福志郎君を問責する。
  右決議する。

   理由
一、防衛庁長官は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的として各自衛隊を管理し、運営し、これに関する事務を行うことを任務とする防衛庁の最高責任者である。しかるに、額賀福志郎防衛庁長官は、就任以来、このたびの一連の防衛庁の不祥事に当たって、適時・適切に指導力を発揮することなく、三たびにわたる防衛庁の家宅捜索を受け、国政に対する国民の著しい不信を招き、ひいては我が国に対する国際的信用を失墜させた責任は極めて重大である。
二、額賀福志郎防衛庁長官は、就任以来、不祥事に関する防衛庁内部の調査を、「自浄能力の発揮」と称して一貫して官僚組織任せにし、政治家の立場からみずから調査に当たることなく、事実の解明に主体的・能動的に取り組んだ形跡がうかがえない。防衛庁が、いわば組織ぐるみで引き起こした事件である可能性が極めて濃厚である以上、当該組織に事件の調査を委ねても、国民が期待する事実解明がなされないであろうことは火を見るよりも明らかである。そうであるにもかかわらず、積極的に行動しようとしない額賀福志郎防衛庁長官は、国民の期待に応えるべき国務大臣として不適格である。
三、額賀福志郎防衛庁長官は、国会において幾度となく、「みずからをむなしくし、私情を挟まないできっちりとした対応をしていくことによって信頼関係の構築に寄与していきたい」とか、「カメのごとく正確に確実に目標に到達するという考えでやっていきたい」とか、ひたすら抽象的な発言を繰り返すだけである。そこには事件解明に向けた積極果敢な取り組みの姿勢がみじんも感じられないばかりか、結果的に国会に十分な情報を提供せず、国民の「知る権利」を著しく侵害している。これは国会軽視であり、国民を裏切る背信行為であると断ぜざるを得ない。十月十四日にようやく公表された「四社事案関連文書の管理実態に関する中間報告」なるものも、到底国民の納得が得られる代物ではない。
四、我が国の財政事情が極めて厳しい状況にある今日、一切の無駄は許されない。それにもかかわらず、防衛庁が装備品の調達に関して何十億円、あるいは何百億円にのぼるかもしれない、払わなくてもよい国民の血税を無駄に払い、国に損害を与えたことは極めて重大である。たとえ、事実の発生が額賀福志郎防衛庁長官の就任前のことであったにしても、防衛庁の最高責任者としての監督責任、道義的責任、結果責任が問われるのは当然である。今回の一連の不祥事にかんがみ、額賀福志郎防衛庁長官は出処進退を明確にし、みずからけじめをつけるべきことが、国民に対する責任を全うする唯一の方法であることを知るべきである。
 これが、本決議案を提出する理由である。